立ち食いステーキという新しいスタイルで外食産業を牽引してきた「いきなり!ステーキ」に、かつてない激震が走っています。運営母体である株式会社ペッパーフードサービスは2019年11月14日、今期の業績予想を大幅に下方修正し、これまで黒字としていた営業損益が一転して7億3100万円の赤字に陥る見通しを明らかにしました。
前年度には38億円もの営業黒字を記録していた同社にとって、今回の赤字転落はまさに「急ブレーキ」と言える事態でしょう。主力事業であるステーキ店の客足が伸び悩んでいることが大きな要因となっており、当初掲げていた20億円の黒字計画は脆くも崩れ去る形となりました。こうした急激な業績悪化を受け、全店舗の約1割に及ぶ44拠点の閉鎖を決断しています。
さらに投資家にとってショッキングなニュースとなったのが、配当予想の変更です。2019年12月期末の配当は、これまで予定されていた15円から「無配」となることが決定しました。年間配当額で見ても、前年と比較して15円減少の15円に留まる見込みです。株主還元を重視してきた同社が、背に腹は代えられない状況まで追い込まれていることが伺えます。
「減損損失(げんそんそんしつ)」という言葉をご存知でしょうか。これは、店舗などの資産が生み出す利益が低下した際、その価値を帳簿上で引き下げる会計上の処理を指します。今回、同社は不採算店舗に関連して16億円もの巨額な損失を計上しました。これにより、最終的な純損益は25億円という大幅な赤字を記録する見通しが立っています。
SNSでも不安の声が続出!急激な店舗拡大の副作用か
このニュースが報じられると、SNS上では「最近、近くの店舗が空いていると思っていた」「急激に店を増やしすぎたのではないか」といった厳しい意見が飛び交いました。一方で、「安くて美味しいから潰れてほしくない」と存続を願うファンの声も根強く、ブランドへの期待と現状のギャップに戸惑うユーザーが多い様子が鮮明に浮かび上がっています。
個人的な視点を述べさせていただけるなら、今回の苦境は「自社店舗同士の競合」が招いた必然の結果のようにも感じられます。短期間に集中的な出店を行ったことで、顧客を分散させてしまった可能性は否めません。また、昨今の深刻な人手不足に伴う人件費の高騰も、収益を圧迫する大きな重しとなってしまったことは想像に難くないでしょう。
売上高についても、前期比で5%増の665億円を維持するものの、当初の計画からは約98億円も引き下げられています。ここ数年の破竹の勢いが影を潜め、経営の健全化を優先すべきフェーズに入ったことは明らかです。かつての勢いを取り戻すためには、店舗数の拡大よりも、一店舗あたりの満足度を高める原点回帰が必要になるかもしれません。
今回の決算発表は、急成長を続けてきた同社にとって、持続可能な経営モデルへと脱皮するための「産みの苦しみ」となるのでしょうか。2019年12月期の着地がどのような形になるのか、そして発表された大規模な店舗閉鎖が今後のV字回復に繋がるのか、外食業界全体が固唾を呑んでその行方を見守っています。
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