【ミドルシニアの危機】年収4分の3、やる気も激減?「役職定年」のハードランディングを和らげる居場所の再定義

賃金の高い40代から50代のミドルシニア層を多く抱える日本企業において、長年の慣行となっている**「役職定年(ポストオフ)」制度が、従業員に深刻な影響を与えている現状が浮き彫りになりました。2019年5月29日付のコラムで、パーソル総合研究所の小林祐児氏が指摘したのは、この制度がもたらす「ハードランディング」**の現実と、その対策の必要性です。

大手企業を対象とした調査では、ポストオフを導入している企業は約5割に上り、多くの企業が50歳から55歳を目安に一律で役職を解く仕組みを採用しています。しかし、この「能力や経験と直接ひも付かない年齢基準」での一律降格は、人事戦略としては強硬策だと言わざるを得ません。ポストオフ後の従業員の年収はそれまでの約4分の3にまで減少し、さらに驚くべきことに、**37.7%もの従業員が仕事へのやる気(モチベーション)**を低下させているという調査結果が出ています。

しかも、約4割の従業員は仕事内容自体が**「変わらない」にもかかわらず役職を解かれており、これは同一労働同一賃金**という原則に照らしても問題含みです。一方、従業員側にも課題があります。ポストオフという「確実に来る未来」に対して、約33%が何も準備せず、22%が「極力考えないようにしていた」と回答しています。しばしば聞かれる「まさか自分が」というショックの裏には、厳しい現実を見ようとしない、人間の心理が潜んでいると言えるでしょう。

SNS上では当時、「ポストオフは企業のリストラ策だ」「定年後の役割が見えないのが一番辛い」といった、当事者やその予備軍からの切実な声が多く上がっていました。コラムニストとしての私の意見ですが、このハードランディングを和らげるための対策の本筋は、「職位(肩書)」以外の形で、その人の職場での役割(居場所)を再定義することにあります。従来の日本型雇用では、昇進・昇格という肩書がモチベーションの源泉だったため、それがなくなった瞬間に、多くのミドルシニアは「居場所が失われた」と感じてしまうのです。

ポストオフ対象者は、豊富な経験や知識を蓄積している企業の貴重な財産です。彼らの積み重ねた経験を生かすには、いきなり「自分で探せ」というのは酷です。若手のメンター(指導・助言者)、部署間の調整役、勉強会講師など、公式・非公式を問わず、組織として何らかの明確な「居場所」を用意し、提案することが必要です。これが、ミドルシニア層のセカンドキャリアを前向きなものに変え、組織全体の生産性向上にもつながる、最も効果的な施策となるでしょう。

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