静岡県の伊豆半島に、新たな観光の拠点となる「美食の聖地」が誕生しました。東急グループは2019年10月05日、伊豆急行の伊豆高原駅前に、世界的建築家と天才シェフがタッグを組んだ地中海料理レストラン「ミクニ伊豆高原」をオープンしたのです。
SNSでは早くも「建物が芸術作品のよう」「海を見ながらの食事は最高のご褒美」といった絶賛の声が相次いでいます。著名な二人のコラボレーションが、かつての活気を取り戻そうとする伊豆の魅力を、再び全国へ発信することでしょう。
このプロジェクトの鍵を握る一人が、建築家の隈研吾氏です。建物は開放感あふれるガラス張りで、全68席から相模灘の雄大な景色を一望できる設計となっています。木の温もりを大切にする隈氏らしく、天井の複雑な木組みやテーブルには、希少なアラスカヒノキが贅沢に使用されました。
特に注目したいのは、テラス席を一本の松が貫通している斬新なデザインです。自然との共生をテーマにしたこの空間は、訪れる人々に圧倒的な開放感を与えてくれるに違いありません。自然素材にこだわった建築は、周囲の景観と見事に調和しています。
伊豆の「ガストロノミー」が誘う新しい旅のカタチ
料理の監修を務めるのは、フランス料理界の重鎮である三國清三シェフです。ここでは「ガストロノミー」という、食事の背景にある文化や歴史、素材への理解を深める美食体験が提供されます。単に美味しいものを食べるだけでなく、土地の豊かさを享受する贅沢な時間です。
三國シェフは、天城軍鶏や新鮮な伊勢エビなど、地元の特産品をふんだんに取り入れた地中海料理を作り上げました。5,000円から12,000円のコース料理では、オリーブオイルを巧みに使ったブイヤベースなど、五感を刺激する一皿を堪能できるでしょう。
現在、東急グループは伊豆でのオリーブ栽培にも心血を注いでいます。今はまだ収穫量が限られていますが、将来的に「完全なる伊豆産オリーブ」での調理を目指すというビジョンは、地域の産業支援としても非常に意義深い取り組みだと私は確信しています。
東急の野本弘文会長は、2019年10月29日の取材に対し、伊豆再生への強い覚悟を語りました。かつて年間1,000万人を誇った伊豆急の利用客が半分以下に減少した今、歴史的な背景を持つこの地を復活させることは、企業の社会的使命でもあるのです。
高級レストランを目的地とする「旅の目的化」は、伊豆観光の質を大きく変える可能性を秘めています。今後検討されているスパ施設などの展開も含め、伝統的な観光地にモダンな風を吹き込む東急の戦略には、今後も大きな期待が寄せられます。
コメント