投資家の視線が熱く注がれるなか、東京の金先物市場が活気付いています。2019年12月04日の清算値は、前日と比較して40円も高い1グラムあたり5159円にまで跳ね上がりました。この水準は約1カ月ぶりの高値となっており、先行きの見えない世界情勢を反映する形での反発といえるでしょう。
市場を大きく揺り動かしたのは、アメリカのトランプ大統領による衝撃的な発言です。現在イギリスを訪問している大統領は、2019年12月03日に中国との通商協議について「合意の期限は設けていない」と言及しました。この言葉が、早期解決を期待していた投資家たちの心理に冷や水を浴びせる結果となったのです。
SNS上では「やはり一筋縄ではいかないのか」「12月15日の追加関税発動が現実味を帯びてきた」といった不安の声が広がっています。市場関係者の間でも、交渉が長期化することへの悲観的なムードが漂い始めており、こうした「もしも」の事態に備えて、価値が目減りしにくい「安全資産」としての金に買いが集中しました。
米景況感の悪化も金買いを後押しする要因に
金の価格を押し上げている要因は、政治的な駆け引きだけではありません。アメリカ国内の経済指標も、投資家がリスクを避ける動きを強める一因となっています。2019年12月02日に発表された米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業景況感指数は、前月からさらに低下する結果となりました。
ここでいう景況感指数とは、企業の購買担当者にアンケートを行い、景気の良し悪しを判断する指標のことです。一般的に「50」が好不況の分岐点とされていますが、今回は4カ月連続でこのラインを下回りました。製造業の不振が浮き彫りになったことで、アメリカ経済の減速を懸念する声がにわかに高まっています。
こうした背景から米国の長期金利が低下しており、金利のつかない資産である金にとっては相対的な魅力が増す状況が生まれています。ニューヨーク市場の金先物も、2019年11月上旬以来の高値圏で推移しており、世界的な「金志向」の強まりが東京市場の価格を力強くバックアップしているようです。
編集者としての私見ですが、トランプ氏の発言は交渉を有利に進めるための駆け引きの一環とも取れます。しかし、実体経済の指標が弱含んでいる現状では、投資家が守りの姿勢に入るのは当然の帰結でしょう。しばらくはニュースの一喜一憂で価格が乱高下する、息の抜けない展開が続きそうです。
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