友情の形は人それぞれですが、10年という歳月を飛び越えて一瞬で学生時代に戻れるような関係は、まさに人生の宝物といえるでしょう。半導体搬送装置で世界をリードするローツェ株式会社の代表取締役社長、藤代祥之氏は、2019年12月06日の日本経済新聞のコラムにおいて、学生時代からの親友である歌人・光森裕樹氏との不思議な縁を明かしています。電話一本で「君は当時、僕をどう思っていたの?」と直球の質問を投げ合える仲は、大人になるとなかなか築けないものです。
二人の出会いは、藤代氏が京都大学工学部に在籍していた頃まで遡ります。当時、京大生が立ち上げたウェブシステム会社でアルバイトをしていた藤代氏は、そこで文学部の光森氏と運命的な出会いを果たしました。理系の視点を持つ藤代氏にとって、ウェブデザインをこなしながら短歌を詠むという光森氏の存在は、非常に個性的で刺激に満ちたものだったようです。同じ下宿で暮らし、同じ職場で汗を流した日々は、今の二人を形作る原点となりました。
特に藤代氏が感銘を受けたのは、光森氏の言語に対する深い哲学です。「外国語をどこまで学ぶべきか」という問いに対し、光森氏は「その国の詩を理解できるまで」と即答したといいます。単なる情報伝達の手段としての言葉ではなく、その背景にある歴史や文化の真髄に触れようとする姿勢に、藤代氏は目から鱗が落ちるような衝撃を覚えました。この「詩を解する」という視点は、表面的な理解を超えた、相手の心に深く踏み込む姿勢を象徴しています。
SNS上では、このエピソードに対して「理系と文系の枠を超えた絆が素敵すぎる」「目的の解像度が違いすぎて震える」といった驚きと共感の声が広がりました。詩を理解するという高い目標は、ビジネスにおける異文化理解にも通ずる本質的な教訓を含んでいるからでしょう。光森氏はその後、ドイツ留学を経て、帰国後には数々の短歌賞を受賞するという目覚ましい活躍を見せます。その情熱に突き動かされるように、藤代氏もまた世界各地を飛び回ることとなりました。
編集者の視点から見れば、この二人の関係は「互いを鏡のように映し出す存在」だと感じます。光森氏から「藤代君こそ変な人だ」と言わしめるほど、お互いに既成概念にとらわれない自由な精神を持ち合わせているのでしょう。一見すると正反対の分野に身を置く二人ですが、未知の世界へ飛び込む行動力や、物事の本質を追究する真摯な姿勢は、驚くほど似通っています。こうした良きライバルであり理解者がいるからこそ、人は高みを目指せるのかもしれません。
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