2020年に開催される東京五輪のマラソンと競歩の会場計画が、ついに大きな転換点を迎えました。2019年11月18日、大会組織委員会と札幌市、そして北海道の三者が実務者会議を行い、札幌市中心部に位置する「大通公園」を発着地点とすることで合意に至ったのです。
もともと東京での開催が予定されていたマラソンですが、記録的な猛暑への懸念から急遽、北の大地・札幌へと舞台が移されました。今回の決定は、選手の健康を守る「暑さ対策」と、膨れ上がる「大会予算の抑制」という、運営側が抱える二大課題を同時にクリアするための英断といえるでしょう。
SNS上では「大通公園ならアクセスも良くて応援しやすい」「北海道マラソンの経験があるから安心だ」といった好意的な意見が目立ちます。その一方で、東京から札幌への突然の変更に対し、準備期間の短さを心配する声や、チケット販売が行われない方針への驚きも広がっているようです。
ビル影がランナーを救う?「新川通」を避けた戦略的コース案
組織委員会が提示した案の目玉は、市中心部の約20キロメートルを2周する「周回コース」の採用です。これには明確な理由が存在します。例年夏に開催されている「北海道マラソン」では、日差しを遮るものがない直線道路「新川通」がコースに含まれ、ランナーを苦しめる難所となっていました。
しかし五輪では、あえてこの過酷なルートを避け、高層ビルが立ち並び日光を遮ってくれる市街地を中心とした経路を検討しています。直射日光を和らげるこの工夫は、極限状態で戦うアスリートにとって、まさに「恵みの影」となるに違いありません。
個人的な視点としても、この変更は非常に理にかなっていると感じます。スポーツの祭典において最も優先されるべきは、選手のパフォーマンスと安全です。札幌の都市機能を逆手に取り、ビル群を「天然のシェルター」として活用するアイデアは、現代の都市型五輪における賢い選択ではないでしょうか。
コストカットと効率性を追求した「コンパクト五輪」の実現へ
運営面でのメリットも見逃せません。周回コースにすることで、警備員やボランティアの配置エリアを限定でき、テレビ中継に必要な機材設置も最小限に抑えられます。総額1兆3500億円という巨大な予算を管理する組織委にとって、この「コンパクト化」は避けて通れない道でした。
当初、IOC(国際オリンピック委員会)は収益確保のために「札幌ドーム」の使用を提案していました。しかし、野球やサッカー用の施設をマラソン仕様に改修するには多額の費用と時間がかかります。この提案を断り、既存の「大通公園」を選んだ判断は、税金の有効活用という点でも評価されるべきでしょう。
大通公園には観客席を設けるスペースが限られているため、組織委はチケットを販売せず「沿道での無料観戦」とする方針を固めました。2019年12月初旬にスイスで開催されるIOC理事会での正式承認を経て、札幌の街が五輪カラーに染まる日はもうすぐそこまで来ています。
コメント