次世代のモビリティとして注目を集める電気自動車(EV)や、安全性を高める先進運転支援システム(ADAS)の普及に伴い、自動車の心臓部ともいえる電子制御ユニット(ECU)の搭載数は右肩上がりで増え続けています。こうした背景の中、京都の電子部品大手であるローム株式会社が、驚異的な省スペース化を実現した新型部品の量産に乗り出しました。限られたスペースに高度な技術を詰め込む自動車メーカーにとって、まさに待望のソリューションといえるでしょう。
今回ロームが開発した「半導体ヒューズ」は、ECUに異常な電流が流れるのを防ぐ守護神のような存在です。従来の保護部品は、一度過電流を検知すると交換が必要でしたが、この新製品は繰り返し利用が可能です。さらに、複数のパーツを組み合わせる従来手法と比較して、基板上の実装面積を最大で7割も削減することに成功しました。SNSでは「7割削減は設計の自由度が劇的に上がる」「これこそ日本の技術力の真骨頂だ」といった驚きの声が上がっています。
この画期的な半導体ヒューズは、2019年6月よりサンプル出荷が開始されており、2020年1月には月産100万個という大規模な量産体制が整う予定です。部品点数を最小限に抑えながら、事故のリスクを低減し安全を守るこの技術は、これからのスマートカー社会を支える不可欠なインフラとなるに違いありません。一つの部品でこれほどまでの効率化を実現できる点は、ロームの卓越した回路設計能力がなせる技だと私は確信しています。
高まる電装化の波に応える「シャント抵抗器」の進化
ロームの攻勢はヒューズに留まりません。2019年11月からは、新型の「シャント抵抗器」の量産体制も確立されました。シャント抵抗器とは、回路を流れる電圧を測定することで正確な電流値を割り出すための重要な部品です。このデータをもとにモーターやインバーターが精密に制御されますが、新製品は設計を抜本的に見直すことで、従来品に比べ4割近い小型化を実現しました。熱を逃がす放熱性能も向上しており、過酷な環境下でも安定した動作が可能です。
特筆すべきは、端子の温度が90度という高温下においても4ワットの定格電力を保証している点です。これにより、コンパクトでありながらパワフルな電流制御が可能となりました。これまでの家電向けビジネスで培ったノウハウを、より高い信頼性が求められる自動車・産業機械分野へと見事にシフトさせているロームの姿勢は、製造業における戦略的転換のモデルケースとも言えるでしょう。現在、同社は次世代材料「SiC(炭化ケイ素)」への巨額投資も進めており、その勢いは止まりません。
ロームは中長期的に、車載事業を連結売上高の5割以上にまで引き上げる高い目標を掲げています。車内の空間をより広く、より安全にしたいという自動車メーカーのニーズに、高性能・省スペースな製品群で応える今回の動きは、EV市場での覇権を握るための重要な布石です。技術の裏打ちがあるからこそ、多くのクライアントから厚い信頼を寄せられているのでしょう。今後、同社の部品が世界中の車に搭載され、私たちの移動体験をより快適にしてくれる未来が楽しみでなりません。
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