2019年11月下旬に開催された「第6回鉄道技術展」において、三菱電機が提示した次世代の鉄道社会像が大きな注目を集めています。これまで同社はモーターや制御装置といった「ハードウェア」の供給で確固たる地位を築いてきましたが、今後はそれらをインターネットに繋ぐ「IoT」プラットフォームへと軸足を移していく方針です。
IoTとは、あらゆるモノが通信機能を持って情報をやり取りする仕組みを指しますが、三菱電機はこの技術を駆使して鉄道の「予兆保全」に力を入れています。これは、故障してから修理するのではなく、データから異常の兆候を事前に察知して未然に防ぐ画期的なアプローチなのです。
AIが故障を予知する新サービス「鉄道LMS on INFOPRISM」の衝撃
2019年10月下旬から提供が開始された「鉄道LMS on INFOPRISM」は、まさにその予兆保全の要となるサービスでしょう。走行中の車両からリアルタイムで稼働データを吸い上げ、AI(人工知能)が各機器の健康状態を自動で判定します。この技術により、現場で働く保守員の負担が劇的に軽減されることが期待されています。
特筆すべきは、相互直通運転を行う複数の鉄道会社間でも、このプラットフォームを通じて情報を共有できる点です。SNS上でも「他社線を走っている自社車両の異常がすぐにわかるのは、安全運行において画期的だ」と、そのネットワークの広がりを評価する声が上がっています。
宇宙の力で鉄道を守る?準天頂衛星と高精度映像解析の融合
三菱電機は、日本の測位衛星である「準天頂衛星(みちびき)」の技術を鉄道にも転用しようとしています。開発中の測位端末は、センチメートル単位で正確な位置を把握できるため、視界の悪いトンネル内での故障時でも、遠隔操作による迅速な対応が可能になるでしょう。
さらに、駅の安全性を高める「映像解析ソリューション」も見逃せません。カメラ映像からAIが車椅子やベビーカーを利用している方を瞬時に検知し、駅員に通知する仕組みです。私は、こうしたテクノロジーが社会の「優しさ」を補完し、誰もが安心して移動できるインフラを支えることこそが、技術革新の真の価値であると考えます。
今後は車両データ、位置情報、そして駅の利用状況をすべて集約した「次世代輸送システム on INFOPRISM」へと進化していく計画です。ハードとソフトが高度に融合するこの取り組みは、日本の鉄道が世界一の精度を維持し続けるための、力強い一歩となるに違いありません。
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