2019年11月28日、日本の社会保障制度が大きな転換点を迎えています。安倍晋三首相が掲げる「全世代型社会保障改革」の実現に向け、自民党の「人生100年時代戦略本部」が12月上旬に提言をまとめる方針を固めました。この改革の舵取りを担うのが、岸田文雄政調会長です。
今回の改革の焦点は、増え続ける社会保障費を抑制するための「高齢者の負担増」にあります。ネット上では「現役世代の負担軽減は急務」「ついに聖域にメスが入るのか」といった期待の声がある一方で、「老後の生活が不安」という切実な反応も入り混じり、国民の関心は最高潮に達しています。
岸田氏の真価が問われる「調整役」としての正念場
「ポスト安倍」の有力候補と目される岸田氏にとって、この改革は自身の政治的手腕を証明する絶好の舞台です。岸田氏が率いる宏池会は、伝統的に財政の健全化を重視するリベラルな保守本流。一定の負担増には理解を示す立場ですが、党内には支持団体の意向を代弁する「厚労族」と呼ばれる議員たちも多く、意見の集約は容易ではありません。
ここで注目したいのが、岸田氏のパートナーとして指名された田村憲久政調会長代理の存在です。厚生労働相を歴任した田村氏は、政策に精通したいわば「社保のエキスパート」。岸田氏は田村氏とタッグを組むことで、複雑に絡み合う党内の利害関係を解きほぐし、官邸との強力な橋渡し役を演じようとしています。
専門用語として登場する「全世代型社会保障」とは、これまでの「高齢者中心」の福祉から脱却し、子供から現役世代、お年寄りまで全員が支え合い、恩恵を受ける仕組みを指します。具体的には、待機児童の解消や働き方改革なども含まれ、人口減少社会における持続可能な日本を作るための「国家のOS書き換え」とも言える重要な概念です。
議論の核心は「75歳以上の窓口負担2割」への引き上げ
政府はすでに、75歳以上の後期高齢者が病院の窓口で支払う負担額を、現在の1割から「2割」へ引き上げる検討を開始しています。2019年11月28日現在の状況では、受診のたびに一定額を支払う定額負担制度の導入も議論の俎上に載っており、まさに「痛みを伴う改革」が本格化しようとしています。
安倍首相は側近に対し、党が「嫌われ役」となって議論を先導することを求めているようです。これは、憲法改正という悲願達成のためにも、まずは内政の懸案事項である社会保障で岸田氏に成果を上げさせ、党内の基盤を固めさせたいという思惑が透けて見えます。
私は、この改革こそが日本の未来を左右すると考えます。高齢化が加速する中で、現役世代だけに重荷を背負わせる構造は限界に達しています。岸田氏が単なる「いい人」で終わらず、たとえ批判を浴びても未来のために決断を下せる「強いリーダー」へと脱皮できるか。12月の提言内容が、その試金石となるでしょう。
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