世界最大のスマートフォン市場である中国が飽和状態を迎える中、次なる主戦場として「インド」が熱い視線を浴びています。2019年12月14日現在、中国メーカーが圧倒的な低価格を武器にインド市場を席巻しており、その勢いはとどまるところを知りません。特に小米(シャオミ)は、2014年の進出からわずか5年でシェア約30%を獲得し、首位に君臨するという驚異的な成長を見せています。
かつて、シャオミの雷軍CEOがニューデリーで披露した英語スピーチの「アー・ユー・オーケー?」というフレーズは、中国の動画サイトでネタにされるほど親しみやすさ(?)を醸し出していました。しかし、その後の快進撃は決して笑い事ではありません。2016年に一度は世界出荷を減らした同社ですが、インドの所得水準に合致した格安ブランド「紅米(ホンミ)」を投入したことで、一気に経営危機を脱出したのです。
徹底した現地化とネット戦略が勝敗を分ける
シャオミの勝因は、インドで急速に普及したアマゾンやフリップカートといったEC(電子商取引)サイトの割引合戦にうまく乗ったことにあります。ネット通販を通じて効率的に販売台数を伸ばし、2017年からは実店舗「小米之家」を拡大して他社を突き放しました。これに続くのが、同じく中国勢のOPPO(オッポ)やvivo(ビボ)です。彼らは当初、広告や店舗を大量展開する「ローラー作戦」を仕掛けましたが、価格の壁に直面しました。
インド市場の約8割は、日本円で1~2万円程度の価格帯が占めています。高価なモデルが主流だったオッポやビボは苦戦を強いられましたが、構造改革を断行します。不採算店舗を削減しつつ、オンライン専用ブランド「リアルミー」を立ち上げるなど、シャオミの手法を徹底的に分析・模倣したのです。その結果、2019年1月から3月期の出荷台数は、前年を倍増させるほどの劇的なV字回復を遂げました。
高級機市場の異変!アップルが抱える「関税」の壁
一方で、これまで高級機で盤石だった米アップルは苦境に立たされています。2019年1月から3月期のインド販売台数は前年比で42%も急落しました。この背景には、インド政府が掲げる「メーク・イン・インディア(インド製造)」という政策があります。これは国内産業を育成するために、輸入される完成品に高い関税(輸入品にかかる税金)を課す仕組みです。機敏に現地工場を設立した中国勢に対し、アップルは対応が遅れてしまいました。
王者の座を追われた韓国サムスン電子も、プライドを捨てて反撃に出ています。インドで国民的人気を誇るスポーツ「クリケット」のスポンサーになり、さらに格安の「Mシリーズ」を投入することでシャオミの牙城を崩しにかかっています。2019年4月から6月期には、サムスンの出荷台数が再びトップに肉薄するなど、まさに群雄割拠の時代です。私自身、この熾烈な争いは単なる企業のシェア争いではなく、インドの生活様式を激変させる歴史的な転換点だと感じています。
中国ではすでに飽和した4G通信(高速通信規格)ですが、インドでは今まさに「夜明け」を迎えたばかりです。13億人以上の人口を抱える巨大市場で、最後に笑うのはどのメーカーになるのでしょうか。現地では「中国メーカーのコスパは最強」「サムスンも安くなった」といった声がSNSで溢れています。この全面戦争の結末は、これからの時間が証明してくれるでしょう。
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