2019年12月14日、世界の株式市場は熱狂の渦に包まれています。米中貿易摩擦への警戒感が和らいだことで、投資家の間では「年末高」への期待が現実味を帯びてきました。しかし、この華やかな上昇劇の裏側で、経済の基礎的条件である「ファンダメンタルズ」が脆弱な国々にまで資金が流れ込んでいる現状には、一抹の不安がよぎります。
SNS上では「乗り遅れるな」という強気な声が目立つ一方で、ベテラン投資家からは「バブルの再来ではないか」と危惧する投稿も散見されます。実体経済が追いついていない中での株高は、まるで砂上の楼閣のような危うさを秘めているのかもしれません。目先の利益に惑わされず、この上昇の正体を冷静に見極める必要がありそうです。
新興国市場を押し上げる「金融緩和」の魔力
2019年を通じて、ロシアやギリシャ、ブラジルといった新興国・中小国の株価が驚異的な伸びを見せています。特にギリシャは、かつての債務危機から立ち直る途上であるにもかかわらず、昨年末比で約4割も上昇しました。この背景には、欧州中央銀行(ECB)による「量的緩和」の影響が色濃く反映されていると言わざるを得ません。
量的緩和とは、中央銀行が市場に大量の資金を供給し、景気を下支えする政策のことです。この溢れたマネーが、より高い利回りを求めてリスクの高い新興国市場へと流入しているのです。専門家からは、経済構造の改革が十分でない国々への投資は「期待先行の行き過ぎ」であるとの厳しい指摘も上がっており、市場の加熱ぶりを物語っています。
国内でも目立つ「逆張り」の熱狂とリスク
こうした「訳あり」への資金流入は、日本国内でも顕著に見られます。2018年に不祥事で大きく値を下げたスルガ銀行や、不正会計問題に揺れたディー・エル・イー(DLE)などの銘柄が、2019年に入り大幅に値を戻しているのです。これらは、株価が下落したタイミングで買う「逆張り」の手法をとる投資家たちのターゲットとなっています。
本来、株価の妥当性を測る指標であるPER(株価収益率)は、純利益に対して株価が何倍まで買われているかを示します。しかし、赤字企業の銘柄ではこの指標が機能しません。編集者としての視点では、指標に基づかない「売られすぎ」という感覚だけでの投資は、ひとたび悪材料が出れば一気に崩壊するリスクを孕んでいると感じます。
プロの運用担当者たちも、上昇相場から取り残されることを恐れる一方で、いつハシゴを外されるかという恐怖と戦っているようです。2019年12月現在のこの楽観が、2020年の実体経済の回復に繋がるのか、それとも一時の夢に終わるのか。私たちは今、非常に繊細な市場の分岐点に立っているといえるでしょう。
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