フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル女子ショートプログラムが2019年12月06日(日本時間2019年12月07日)に開催され、大会連覇を狙う紀平梨花選手がまさかの最下位となる6位発進となりました。氷上に漂う緊張感の中、誰もが彼女の華麗な演技を期待していましたが、勝負の神様は時に残酷な試練を与えます。
演技直前のアップ段階から、紀平選手は自身の異変を敏感に察知していました。氷の外で行う回転練習において、本来あるべき「瞬発力」が影を潜めていたのです。これは筋肉が爆発的に収縮する力のことで、高く鋭いジャンプを跳ぶためには欠かせない要素ですが、この日の彼女はその感覚を掴みきれずにいました。
午前中の公式練習から本番まで約10時間という長い待ち時間が、繊細なアスリートの感覚を狂わせたようです。SNS上でも「調整の難しさが伝わってくる」「待ち時間が長すぎてリズムが崩れたのでは」と、慣れないタイムスケジュールが及ぼした影響を心配する声が相次いで投稿されています。
精神的な重圧も彼女の肩にのしかかりました。昼寝を試みるも寝付けず、大一番を前にした極度の緊張が疲労となって体に蓄積してしまったのです。「体が全然動かなかった」と振り返る通り、得意のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で着氷が乱れる波乱の幕開けとなりました。
ロシア勢の猛追と4回転ジャンプへの挑戦
続く連続ジャンプでは、安全を期した構成でありながら回転不足で転倒するという痛恨のミス。自己ベストを大きく下回る結果に、完璧主義な彼女は「調整ミス」と深く肩を落としました。しかし、若き女王がこのまま終わるとは思えません。どん底を味わった人間こそが、最も強い光を放つはずです。
リンクサイドでは、4回転ジャンプを武器にするロシア勢が圧倒的なパフォーマンスを見せつけています。「ミスをすれば終わり」という極限のプレッシャーが、今の女子フィギュア界のレベルを物語っています。紀平選手もその高い壁を越えるため、フリーでの大逆転を固く誓っているに違いありません。
注目が集まるのは、フリーで女子史上最高難度とも言える4回転サルコーを構成に組み込むかどうかという点です。サルコーとは、後ろ向きに滑りながら内側のエッジを使って踏み切るジャンプで、4回転ともなれば成功時の得点源として非常に大きな武器となります。
現在の首位とは差が開いていますが、表彰台までは約7.56点差と十分に射程圏内です。私は、紀平選手がこの逆境をバネに、持ち前の精神力で素晴らしい巻き返しを見せてくれると信じています。2019年12月08日のフリー演技では、彼女の笑顔が再びリンクで輝くことを願ってやみません。
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