世界中で人やモノが行き交うグローバル化の波は、私たちの「食」のあり方にも大きな変化を迫っています。今、日本の農業や外食産業において、国際的なルールをいかに取り入れ、また日本主導でルールを形作っていくかが、政治・経済の重要なテーマとなっているのです。その最前線では、次世代を担う若者たちが新しい挑戦を始めています。
2019年11月19日、福島県の内堀雅雄知事は県立福島明成高校を訪れ、生徒たちが育てたリンゴの収穫を体験しました。この訪問の目的は、同校が取得した「GAP(農業生産工程管理)」という国際基準の認証について理解を深めることにあります。GAPとは、農産物の安全確保や環境保全など、生産工程を適切に管理するための「農業の共通ルール」を指す専門用語です。
かつて原発事故の風評被害に苦しんだ福島県にとって、このGAP認証は農産物の信頼を客観的に証明する強力な武器となります。実習に励む生徒たちが「生半可な気持ちでは取り組めなくなった」と語る通り、国際標準に準拠することは、単なる手続き以上の意識改革をもたらしています。世界基準を学ぶことが、地方の農家にとって世界への扉を開く鍵となっているのです。
SNS上では、こうした高校生の取り組みに対し「若い世代が国際基準をリードするのは頼もしい」「福島から世界へ安全を発信してほしい」といったエールが多く寄せられています。2020年の東京五輪・パラリンピックでは、選手村などで提供される食材にこのGAP認証が求められており、福島明成高校もベトナム選手団向けのメニューを提案するなど、準備に余念がありません。
ベジタリアン・ビーガン対応で見せる政治の主導権
食の多様性への対応も急務です。2018年11月、ポール・マッカートニー氏と小池百合子都知事らが会談したことをきっかけに、週に1日菜食を実践する運動が注目されました。これを受け、2019年11月にはベジタリアンやビーガン(卵や乳製品も口にしない完全菜食主義者)への対応を検討する超党派の議員連盟が発足し、官民一体となった環境整備が始まっています。
これまで日本は、米国発の衛生管理基準「HACCP(ハサップ)」のように、海外で作られたルールを受け入れる立場がほとんどでした。しかし、急増する訪日客への対応や農産物の輸出拡大を目指す今、日本自らが認証制度のルール作りに参画し、国際社会に働きかける姿勢が求められています。これは、単なる「おもてなし」を超えた、国家戦略としての食文化の発信といえます。
私は、この動きこそが日本が再び国際的な存在感を高めるチャンスだと考えます。ITや製造業で苦戦を強いられる中、世界が認める日本の「食」というコンテンツに、国際標準という裏付けが加われば、これほど強いものはありません。各省庁の垣根を越え、政治がリーダーシップを発揮して「日本発の食のルール」を確立することを切に願っています。
コメント