2019年12月17日、スペインのマドリードで開催されていた気候変動枠組み条約締約国会議、通称「COP25」が幕を閉じました。近年、世界各地で激甚化する気象災害を目の当たりにし、誰もが温暖化対策の緊急性を痛感しているはずです。しかし、今回の会議が突きつけたのは、理想の削減目標とあまりにも乖離した厳しい現実でした。
来たる2020年から本格始動する「パリ協定」は、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度以内に抑えることを目指す国際的な約束です。今回の会議はこの運用ルールを完成させ、各国が掲げる削減目標をさらに上積みするための重要なステップとなるはずでした。しかし、期待された大きな進展は見られず、国際社会の足並みの乱れが浮き彫りとなっています。
グテレス国連事務総長が自身のSNSで「結果に失望した」と率直な胸の内を明かしたことは、ネット上でも大きな波紋を呼びました。SNSでは「政治が科学に追いついていない」「次世代への責任をどう考えているのか」といった厳しい意見が相次ぎ、市民レベルでの危機感と、進まない国際交渉とのギャップに対する怒りや悲しみが渦巻いています。
現在提示されている各国の目標をすべて足し合わせても、このままでは世界の気温は3度以上上昇してしまうという衝撃的な予測が出ています。この危機を回避すべく、今回の成果文書に目標の引き上げを明記しようと試みましたが、合意には至りませんでした。排出量トップの中国や、協定離脱を進める米国といった大国の消極的な姿勢が、交渉の大きな壁となったのです。
欧州が突きつける「グリーンディール」の衝撃と日本の課題
主要国が停滞する中で、欧州連合(EU)の動きは非常に際立っています。彼らは2050年までに域内の温室効果ガス排出を実質ゼロにする「グリーンディール」という壮大な計画を発表しました。これは単なる環境政策ではなく、環境対策が不十分な国からの輸入品に関税を課すという強力な経済戦略も含んでおり、日本企業にとっても無視できない巨大な転換点となるでしょう。
一方で、日本の存在感は厳しい批判にさらされています。小泉進次郎環境相は国際舞台で発言しましたが、具体的な石炭火力発電の削減案や目標の引き上げを提示できず、世界の期待を裏切る形となりました。これは環境省と経済産業省の間にある、いわゆる「省庁の壁」がエネルギー政策の柔軟な転換を阻んでいるという構造的な問題も大きく影響しています。
私は、日本がこのまま「環境後進国」のレッテルを貼られることを強く危惧しています。環境対策はもはやコストではなく、新たな成長のエンジンです。太陽光や風力といった「再生可能エネルギー」の不安定さを解消する高性能な蓄電池や、排出されたガスを回収して再利用する高度な技術開発こそ、日本が世界をリードすべき分野ではないでしょうか。
今こそ、日本はエネルギー構成のあり方を根本から見直すべき時です。政府が公表している目標すら達成が危ぶまれる現状を打破するには、官民が一体となってイノベーションを加速させるしかありません。2019年12月17日というこの日を、私たちが持続可能な未来に向けて真に目覚める分岐点にしなければならないと、強く感じています。
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