私たちの生活に欠かせない冷却材であるドライアイス。その供給を支える大きな動きが2020年01月03日、明らかになりました。大陽日酸のグループ企業である日本液炭は、山口県宇部市にある宇部興産の敷地内に、液化炭酸ガスとドライアイスを生産する大規模な新工場を建設します。
近年、ドライアイスの原料となるガスの不足が深刻化しており、ネット上でも「夏場の保冷剤が手に入りにくい」「物流への影響が心配」といった懸念の声が散見されていました。今回の総額約60億円という巨額投資による新拠点設立は、こうした逼迫する需給バランスを改善する待望のニュースといえるでしょう。
本プロジェクトは2020年02月に着工を予定しており、2021年11月からの本格稼働を目指して計画が進められています。製造プロセスには、宇部興産のアンモニア製造プラントから副次的に発生する炭酸ガスを有効活用する手法が採用される見込みです。
効率的な生産体制の構築と物流の最適化
新工場の生産能力は非常に強力で、液化炭酸ガスは1日あたり200トン、ドライアイスは150トンに及びます。液化炭酸ガスとは、気体の炭酸ガスに圧力をかけて液体にしたもので、飲料の炭酸用や溶接などの工業用途に広く使われる重要な資源です。
今回の発表で特筆すべきは、製造拠点の集約による効率化でしょう。新工場の稼働に伴い、現在は福岡県にある黒崎工場と、岡山県に位置する水島工場が担っているドライアイス製造機能は、この宇部工場へと一本化される方針が示されています。
産業ガス業界は今、原料ガスの確保が難しくなるという厳しい局面に立たされています。私は今回の決断について、単なる増産以上に、安定的かつ持続可能な供給網を再構築するための戦略的な一手だと高く評価しています。
化学プラントからの副生ガスを再利用する仕組みは、環境負荷を低減する観点からも非常に意義深い取り組みです。2021年11月の稼働開始により、私たちの食卓や物流インフラがより強固に守られることを期待せずにはいられません。
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