日常の移動手段として多くの人が利用する路線バスにおいて、あってはならない驚きのトラブルが発生いたしました。岐阜乗合自動車(岐阜市)が運行する路線バス車内で、終点に到着したにもかかわらず、居眠りをしていた小学生の児童に運転手が気づかず、そのまま回送車として発車してしまうという事案が発覚したのです。
事件が起きたのは2020年1月6日の昼下がりのことでした。当時、この児童は運転席のすぐ後ろという、本来であれば最も運転手の目が届きやすい特等席に座って眠ってしまっていたそうです。しかし、バスが終点に到着した際、運転手は乗客が残っていないかを確認する「車内点検」を完全に怠り、2020年1月6日の午後1時20分頃に次の目的地へ向けてバスを出発させてしまいました。
この「回送(かいそう)」とは、乗客を乗せずに空車の状態で次の始発バス停や車庫へと移動する状態を指す専門用語です。児童は発車から約10分後に目を覚まし、自分が知らない景色の中にいることに驚いて運転手に申し出ました。児童が置かれた恐怖や孤独感は、計り知れないものだったと容易に想像がつきます。
さらに深刻なのは、その後の運転手の対応でしょう。児童の訴えを聞いた運転手は、本来降りるはずだった停留所から約3キロメートルも離れた見知らぬバス停で児童を降ろしてしまったのです。その上で、別の路線バスを使って自力で帰るように促し、結局この児童はたった1人で歩いて自宅まで帰ることになりました。
この信じがたい事態を受け、児童の保護者が同社へ直接指摘を行ったことで問題が明るみに出ました。社内調査に対して運転手が事実を認めたため、岐阜乗合自動車は2020年1月7日に保護者へ謝罪し、管轄である国土交通省中部運輸局への報告を済ませています。報道がなされた2020年1月12日以降、ネット上では瞬く間に怒りの声が広がりました。
SNSでは「子供を責めるのは筋違い。運転手の確認不足がすべて」「見知らぬ土地に3キロも放置するなんて、誘拐や事故に巻き込まれたらどうするつもりだったのか」といった、運行会社の安全意識や危機管理能力を厳しく問うコメントが殺到しています。我が子を安心して預けられないという、親世代の切実な不安が如実に表れた結果と言えるでしょう。
編集部といたしましては、公共交通機関の使命である「安全・安心の確保」が根底から揺らぐ、極めて重大な過失であると考えております。体調不良などで動けない乗客が取り残されるリスクを防ぐためにも、終点での目視確認は基本中の基本です。それを怠っただけでなく、幼い子どもを危険な路上に置き去りにした判断は決して許されるものではありません。
今回のトラブルを教訓に、全国のバス事業者には再発防止策の徹底と、乗客の命を預かるプロとしてのモラル向上を強く求めたいところです。二度とこのような悲しい置き去り事件が起きないよう、業界全体の厳しい見直しが必要とされるのではないでしょうか。
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