国内の電力インフラを支えてきたクレーン界の巨人が、ついに世界へとその翼を広げます。プラントや橋梁などの建設工事で高い実績を誇る電材ホールディングスが、風力発電施設の受注拡大を目指し、海外展開を猛烈なスピードで加速させているのをご存じでしょうか。人口減少や少子高齢化が進む日本国内では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要が一巡した後の市場縮小が懸念されています。こうした状況を打破するため、同社は国内中心の成長モデルから脱却し、世界へと舵を切りました。
驚くべきは、その圧倒的な目標設定とスピード感にあります。現在わずか3パーセント(%)程度にとどまっている海外売上高比率を、向こう10年間で一気に40パーセント(%)にまで引き上げる計画を掲げているのです。この大胆な挑戦に対し、SNS上では「少子高齢化を見据えた素晴らしいスピード感」「日本のインフラ技術が世界で認められるのは誇らしい」といった称賛の声が相次いでいます。現状維持に満足せず、攻めの姿勢を崩さない企業の鑑として、多くのビジネスパーソンから熱い視線が注がれているようです。
具体的には、2020年中にアメリカや韓国、フィリピンに新たな営業拠点となる現地法人を立ち上げる予定です。さらに中国の上海にも駐在員事務所を開設し、アジアを軸とした世界4拠点の新設を同時に進めていきます。最初は駐在員1人と現地採用2人の計3人という少数精鋭で稼働をスタートしますが、フィリピンでは2022年12月31日までに20人規模、韓国では2023年12月31日までに15人規模へと組織を急拡大させる方針です。各地域で導入が急速に進むクリーンエネルギーの建設案件を精査し、確実に受注へと繋げていくのでしょう。
巨大クレーンという独自の強みと台湾での歴史的快挙
電材ホールディングスの最大の武器は、他社の追随を許さない「大型クレーンやトラクターの保有数」にあります。風力発電の世界では、発電効率を高めるために風車の大型化が凄まじい勢いで進んでいるのをご存じでしょうか。風車が大きくなればなるほど、それを組み立てるための特殊な超大型クレーンと、それを扱う熟練の技術が必要不可欠になります。まさに同社が長年培ってきた重機インフラのノウハウが、これからの地球環境を救うグリーンテック(環境配慮型の技術)の現場で100パーセント(%)生かされる形となりました。
実は、すでに海外での成功実績も着実に積み上がっています。2018年にバングラデシュと台湾へ進出したのを皮切りに、2019年にはベトナムとデンマークに拠点を設立しました。そして2019年11月には、台湾の公営電力会社が計画する洋上風力発電所の工事という歴史的なビッグプロジェクトを受注したのです。これは台湾中西部の沖合に、出力5200キロワットの巨大な発電設備を21基も建設するというもので、受注額は10億円から20億円程度にのぼるとみられています。
このプロジェクトにおいて、同社は港湾での資材荷受けから運搬、そして最も難易度が高いとされる洋上での建設工事までを一気通貫で担い、2020年12月31日の完成を目指して突き進んでいます。ネット上でも「洋上風力のノウハウを日本企業がアジアで先導しているのは凄い」「これぞこれからの時代のインフラビジネス」と期待の声が爆発しています。2018年度に82億5900万円だった売上高を、2024年度には150億円にまで引き上げるという高い目標も、この勢いを見れば十分に現実味を帯びていると感じるでしょう。
世界の経験を日本へ還元する逆輸入のイノベーション
同社の海外シフトは、単に日本の外で稼ぐためだけのものではありません。2019年12月には、風力発電の本場であるデンマークに洋上風力関連の研究開発拠点を設けており、技術面でのアップデートにも余念がありません。取締役の上村浩貴氏が「台湾など海外の洋上風力の経験を日本でも生かしたい」と語るように、世界最先端の現場で揉まれて培った最高峰の技術やノウハウを、いずれは日本の風力発電市場へ「逆輸入」して還元するという極めて壮大なイノベーション戦略が描かれているのです。
少子高齢化や市場の飽和を理由に、縮小均衡に陥ってしまう日本企業は少なくありません。しかし、電材ホールディングスのように自社の強みを再定義し、時代のニーズである再生可能エネルギーと掛け合わせて世界へ打って出る姿勢こそ、これからの日本経済に最も必要なカンフル剤(活性化させる手段)ではないでしょうか。陸上での実績から洋上へ、そして国内から世界へとダイナミックに脱皮を続ける同社の挑戦は、これからのインフラ産業の未来を明るく照らす一筋の光になるに違いありません。
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