イギリスの欧州連合、いわゆるEUからの離脱が決まり、激動の時代を迎えているヨーロッパですが、一体どこへ向かおうとしているのでしょうか。現在、その中心地として世界中から熱い視線を浴びているのがドイツです。2010年に発生したユーロ危機を乗り越えて以降、加盟国におけるその存在感は増すばかりとなっています。
ユーロ危機とは、ギリシャの財政赤字隠しを端緒に、ユーロ圏全体の信用が揺らいだ深刻な経済危機のことを指します。この難局を経て、ドイツはEU域内での地位を確固たるものにしました。さらにイギリスが抜けた今、その政治的・経済的な影響力はかつてないほど強まる可能性を秘めています。
しかし、影響力が増大する一方で、周囲からの反発も無視できないレベルに達しているのが現状です。かつて財政再建のために過酷な「緊縮財政」、つまり政府の支出を極端に抑える政策を求められたギリシャなどからは、不満の声が噴出しました。力が強まれば強まるほど、周囲の警戒心も煽ってしまうというジレンマに直面しているわけです。
こうした状況に対して、SNS上では「歴史的な背景を考えると、近隣諸国が神経質になるのも無理はない」「経済的なリーダーシップは必要だが、強権的になりすぎるのは危うい」といった、鋭い分析や懸念の声が数多く寄せられています。ドイツが主導権を握るたびに、ナチズムという悪夢の歴史がどうしても人々の脳裏をよぎってしまうのでしょう。
私個人の見解としては、現在のドイツに求められているのは、単なる経済力による支配ではなく、他国に寄り添う「寛容なリーダーシップ」ではないかと考えます。自国の利益やルールを周囲に押し付けるだけでは、欧州の真の統合や調和は生まれません。過去の過ちを誰よりも深く知る国だからこそ、歩み寄りの姿勢が試されています。
そんな現代の国際政治における複雑なパワーバランスを深く見つめ直し、ドイツが真の指導者になれるかを考える格好の視座を与えてくれるのが、2020年1月18日に注目を集めているハンス・クンドナニ著、中村登志哉訳の『ドイツ・パワーの逆説』(一芸社・2700円)です。これからの国際情勢を見通すための必読の1冊と言えるでしょう。
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