相次ぐ台風や地震などの自然災害に備えて、多くの企業がBCPの策定を進めています。BCPとは「事業継続計画」のことで、災害などの緊急事態が発生した際にも会社が重要な業務をストップさせず、仮に中断しても早期に復旧できるようにあらかじめ準備しておく計画を指します。しかし、避難時や停電時のインフラ確保には多額の費用がかかるため、資金力に限りのある中小企業にとっては導入のハードルが高いことが大きな課題となっていました。
こうした状況のなかで、新電力販売を手がける関西エネルギーパワー株式会社(大阪市)が非常に画期的な新商品を開発しました。同社は2020年2月中にも、災害による停電時の一時的な利用に機能を特化させた、極めてコストパフォーマンスの高い新型蓄電池を発売します。注目すべきはその圧倒的な低価格で、販売価格はなんと39万6000円に設定されました。100万円から200万円ほどが相場である従来品と比較して、なんと半額以下という驚きの安さを実現しています。
この破格とも言えるプライスを実現できた秘密は、バッテリーの心臓部にあたる正極材に「リン酸鉄リチウム」を採用した点にあります。この素材は安全性が非常に高く熱暴走を起こしにくい一方で、充放電の許容回数が約1000回と一般的な蓄電池よりも少なめに設計されています。日常的に毎日使うのではなく、あくまで「もしもの非常時」の備えにフォーカスして機能を割り切ったからこそ、ここまでの低価格化を成し遂げられたのでしょう。
気になる容量は3.6キロワット時を誇り、これはスマートフォン約200台分をフル充電できるほどのタフさです。SNS上でも「これなら個人のマンションオーナーや小さな小売店でも現実的に導入できる」「必要な機能に絞って価格を下げる割り切り方が素晴らしい」といった称賛の声が相次いでおり、早くも大きな反響を呼んでいます。初年度の売上目標は1億円程度を見込んでいるとのことで、まさに防災市場の勢いを感じさせる数字です。
個人的には、この「非常時に特化して安く提供する」というアプローチは、日本の防災対策を底上げする素晴らしい一手だと確信しています。いくら高性能な機材があっても、高すぎて普及しなければ意味がありません。企業の規模を問わず、手が届く価格で命綱となる電源を確保できる選択肢が生まれたことは社会的に極めて有意義です。こうした実用的な防災イノベーションが、今後さらに加速していくことを期待して止みません。
さらに同社は2020年春にも、空気中の水分から飲料水を作り出せる「ウォーターメーカー」のレンタル品と、この蓄電池をセットにした魅力的な防災プランの提案を開始する予定です。将来的には、停電が長引いた際にも自力で充電が行えるように、小型の太陽光パネルの販売も視野に入れているそうです。エネルギーと水の確保という避難時の最重要課題を同時に解決できるこの取り組みは、今後の企業の防災スタンダードを変えていくかもしれません。
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