私たちは今、あらゆる行動がデジタル化され、莫大な価値を生み出す「データエコノミー」の真っただ中に生きています。データエコノミーとは、個人や企業のさまざまなデータをビジネスや社会の発展にフル活用する経済活動のことです。誰もがスマートフォンを手にする現代において、この仕組みは切っても切り離せない存在になりました。
しかし、その急速な発展の裏側には、常に個人情報の取り扱いに関するトラブルや不祥事が影を落としています。SNS上でも「便利さとプライバシーのバランスが難しすぎる」「自分のデータがどう使われているか分からなくて怖い」といった、切実な声が数多く飛び交っている状況です。
そんな現代社会の「光と影」を鮮烈に描き出したのが、日本経済新聞出版社から2020年01月11日に発売された書籍『データの世紀』でしょう。本書は、データがもたらす革新と、それに伴う歪みを徹底的な取材で追った一冊です。
リクナビ問題からGAFA規制まで!激変する世界の情報市場
本書のなかでも特に象徴的な事例として挙げられているのが、世間を大きく揺るがした「リクナビ問題」です。これは就職活動中の学生が内定を辞退する確率を予測し、そのデータを企業側へ不適切に販売していたという事件になります。効率性を重視するあまり、個人の尊厳や信頼を裏切ってしまったこの問題は、データビジネスの危うさを証明しました。
さらに目を世界に向けると、巨大IT企業群である「GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)」に対する規制の波が急速に強まっています。市場の独占や個人情報の囲い込みに対して、各国政府が厳しい目を光らせているのが現状です。
こうしたマクロな視点だけでなく、本書は配車サービスのドライバーや、自らの情報を提供して対価を得る「データ労働者」といった「個」の視点に焦点を当てています。デジタル格差の最前線で生きる人々のリアルな姿は、読者に強い衝撃を与えるに違いありません。
新聞協会賞受賞の傑作連載!今こそ私たちが考えるべきデータの未来
もともと本書は、日本経済新聞の紙面で大きな話題を呼び、栄えある新聞協会賞の編集部門を受賞した大型連載がベースとなっています。その傑作連載に、単行本化にあたって大幅な加筆修正が施されたのが本作です。それだけに、情報の質や現場の臨場感は他の追随を許さない仕上がりを見せています。
インターネットメディアの編集者として、私は本書が提示する問題提起を、決して他人事として片付けるべきではないと考えます。データは社会を豊かにする最高の道具になり得ますが、倫理観を欠いた運用はディストピア(暗黒世界)を生み出しかねません。
私たちが自らの権利を守り、健全なデジタル社会を築くためには、まず「データがどのように社会を動かしているのか」を知る必要があります。1500円(税別)という価格以上の価値が詰まったこの一冊は、全ビジネスパーソンにとって、これからの時代を生き抜くバイブルになるはずです。
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