リクナビ「内定辞退率」予測販売でトヨタなど37社に行政指導!データ活用の倫理と企業責任を問う

就職情報サイトの最大手「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、就活生の「内定辞退率」を予測して販売していた問題が、新たな局面を迎えました。政府の個人情報保護委員会は2019年12月04日、この予測データを購入・利用していたトヨタ自動車を含む全37社の企業に対し、一斉に行政指導を行ったことを明らかにしました。

今回の問題の核心は、リクナビ側だけでなく、データを依頼した企業側の姿勢にも厳しい目が向けられた点にあります。委員会は、就活生に対して情報の取り扱いに関する説明が著しく不足していたと指摘しました。膨大な情報をビジネスに活用する「データエコノミー」が加速する中で、企業が背負うべき社会的責任の重さが改めて浮き彫りとなっています。

そもそも「内定辞退率」の算出とは、学生がサイト上でどの企業を閲覧したかという行動ログを解析し、AIなどが「この学生が内定を辞退する確率」を導き出す仕組みを指します。2018年以降、約9万5千人分ものデータが対象となりましたが、当の学生たちには自分たちの行動がそのようにスコア化されている事実は十分に知らされていませんでした。

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「合否には無関係」という主張と法的な死角

指導対象となった企業側は、一様に「受け取ったデータは採用の合否判断には使用していない」と釈明しています。しかし、個人情報保護委員会はたとえ合否に直結せずとも、自身の不利になり得るデータが本人に無断で作成・共有されること自体を問題視しました。こうした行為は、個人情報保護法の趣旨に抵触する恐れがあると判断されています。

ネット上のSNSや掲示板では、このニュースに対して「学生の人生をAIの確率だけで弄ぶのか」「信頼して登録したサイトに裏切られた気分だ」といった、就活生や保護者からの悲痛な叫びや不信感が渦巻いています。企業側が法的検討を軽視し、利便性のみを追求した結果、将来を担う若者たちとの信頼関係を大きく損ねる事態を招いたといえるでしょう。

さらに厳しい追及を受けたのは、リクルート側です。彼らは当初、ブラウザに保存される「クッキー(Cookie)」情報を用いているため個人情報の提供には当たらないと主張していました。しかし、クッキーとはサイト訪問者の識別を可能にする技術であり、実質的に個人を特定できることを承知の上で運用していた点について、委員会は「法の網を潜り抜ける極めて不適切なサービス」と断罪しています。

データ活用時代の編集者としての提言

2019年12月05日現在、三菱商事などの大手企業が公式に謝罪し、厚生労働省も職業安定法に基づき別途指導を行う方針を固めています。効率化のためにデータを使うことは企業の成長に不可欠ですが、その根底には「個人の尊厳」への配慮が不可欠です。透明性のないデータ利用は、巡り巡って企業のブランド価値を破壊するリスクを孕んでいます。

今回の騒動は、単なる一企業の不祥事ではなく、日本社会全体がデジタルデータの倫理的扱いにどう向き合うかを問う試金石となるはずです。企業は技術を過信するのではなく、その裏側にいる「人間」の顔を忘れてはなりません。学生たちが安心して夢を追いかけられる健全な就職活動環境の再構築が、今まさに急務となっています。

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