近年、エネルギー販売の自由化によって、私たち消費者にとって電力やガスの選択肢は大きく広がりました。しかし、その分、事業者間の価格競争は激化しています。こうした状況のなか、東京ガス(東ガス)は本業であるガス供給事業だけでなく、周辺サービスを拡充することで新たな収益源を確保する戦略を進めているのです。
その核となるのが、住宅設備や家電の取扱説明書(トリセツ)をスマートフォン(スマホ)やパソコンで一元管理できる画期的なサービス「トリセツホーム」です。2019年6月18日、東ガスはこのサービスが東京建物による新築分譲マンションへの採用が決定したことを発表しました。
具体的には、東京建物が同年7月以降に首都圏で引き渡しを予定している「ブリリア」シリーズの新築物件で、この「トリセツホーム」が導入されます。実は2018年8月から一部の物件で試験的な導入が行われており、その利便性が高く評価された結果、首都圏の「ブリリア」シリーズ全般での採用に至ったとのことです。この動きは、東ガスが目指すスマートホーム連携の大きな一歩と言えるでしょう。
「トリセツホーム」の魅力は、何と言っても大量の紙の説明書から私たちを解放してくれる点にあります。入居時に設置されているエアコンや給湯器といったガス機器だけでなく、入居後に自分で購入したテレビ、冷蔵庫などの家電製品についても、型番を入力するだけでアプリ内で説明書を閲覧できる機能が提供されています。これにより、「あの説明書、どこにしまったっけ?」と探す手間が一切なくなるのです。
私たち利用者の利便性が向上するだけでなく、マンション事業主である東京建物側にも大きなメリットがあります。事業主は専用のアカウントを通じて、各住戸の設備情報を一元的に管理できるため、入居者からの設備に関する問い合わせに対して、よりスムーズかつ迅速に対応することが可能になります。これは、入居者サービスの質の向上に直結する重要なポイントです。東ガスは、このアプリの利用実績に応じて手数料を受け取る仕組みを構築しており、自由化で競争が激化するガス供給事業を補完する新たな収益の柱として、この新事業の育成を加速させていることが伺えます。
この「トリセツホーム」は、その革新的なアイデアと実用性が高く評価され、後の2019年12月には「グッドデザイン賞」を受賞していることもあり、SNS上でも「これがあれば、説明書を探すストレスがなくなる!」「環境負荷の軽減にも繋がって一石二鳥」といった、歓迎する声が多く見受けられました。まさに、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)が浸透しつつある現代において、私たちの生活の質(QOL)を大きく高めてくれるサービスではないでしょうか。大量の紙の説明書に悩まされてきた私個人としても、このようなデジタル管理ソリューションが標準化していくことに大きな期待を寄せています。
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