2020年1月20日に開催された大相撲初場所9日目は、まさに手に汗握る激動の展開となりました。優勝争いの命運を握る注目の一戦では、看板大関の貴景勝関が、勢いに乗る正代関の鮮やかな突き落としに屈して2敗目へと後退したのです。これにより、賜杯を巡るレースの行方はますます混迷の度合いを深めています。
この結果、平幕の正代関と徳勝龍関の2人が1敗という素晴らしい成績を死守し、堂々とトップの座を並走する形となりました。「平幕」とは、横綱や大関といった「役力士」以外の幕内力士を指す専門用語ですが、彼ら下位の力士が並み居る強豪を抑えて主役に躍り出る姿は、これぞ大相撲の醍醐味と言えるでしょう。
SNS上でもこの平幕二人の快進撃には大きな反響が寄せられており、「まさかこの2人が引っ張るとは誰が予想したか」「今場所の面白さは異常だ」といった驚きと興奮の声が溢れています。実力が拮抗している現代相撲だからこそ、誰が勝ってもおかしくないハラハラした面白さを、ファンも敏感に察知して楽しんでいる様子が伺えます。
一方で、伝統の重みを背負う上位陣にとっては非常に苦しい1日となりました。負け越せば地位を失う「かど番」の窮地に立たされている大関の豪栄道関は、人気の小兵力士である炎鵬関に押し出され、3勝6敗と後がなくなっています。炎鵬関の変幻自在な動きに翻弄された形ですが、大関の意地を見せてほしいところです。
さらに、関脇の高安関は宝富士関に押し出されて6敗目を喫し、わずか1場所での大関返り咲きの条件であった「10勝」への道がここで完全に断たれてしまいました。大相撲の厳しさを物語る残酷な結末ですが、元大関としてのプライドを胸に、残りの数日間でどこまで立て直せるかに注目が集まります。
激動の土俵ですが、関脇の朝乃山関は小結の大栄翔関を力強く下して6勝3敗とし、新大関への足固めを着実に進めている印象です。また、トップを2敗で追う力士には、大関の貴景勝関に加えて、豊山関と輝関という平幕の2人がピタリと追走しており、終盤戦に向けた熱い戦いはさらに加速していくでしょう。
ここで見逃せないのが十両の動向です。かつて大関の地位にありながらも、怪我や病気で序二段まで陥落した照ノ富士関が、なんと開幕から9連勝を飾って単独首位を独走しています。不屈の精神で這い上がってきた元大関の姿は、多くの人々に勇気を与えており、その復活劇から目が離せません。
筆者の視点として、今場所はまさに「戦国相撲」の象徴だと感じます。かつてのような絶対王者が不在の今、チャンスは全ての力士に平等に開かれているのです。守る大関陣の苦悩と、攻める平幕勢の勢いが交錯するこの初場所は、相撲界の新たな時代の幕開けを予感させる、歴史的な場所になるのではないでしょうか。
コメント