あらゆる空間を時間単位で手軽に貸し借りできる、場所のシェアリングサービスをご存じでしょうか。そのパイオニアとして市場を牽引するスペースマーケットが、2019年12月20日に東証マザーズへの新規上場を果たしました。SNS上でも「これからはお店を予約するより部屋を借りる時代」「上場でさらに使いやすくなりそう」と、大きな期待が寄せられています。
代表取締役社長の重松大輔氏は、上場によりプラットフォームとしての信頼性をさらに高めたいと語ります。空き空間の仲介、いわゆる「シェアリングエコノミー」は急速に社会へ浸透しているものの、個人間でのやり取りに心理的ハードルを感じる人が未だ少なくないのが現状です。そこで企業としての信用度を底上げし、より多くの新規顧客に安心して使ってもらえる環境を整えることが、今回の上場の大きな狙いとなっています。
今回調達した資金は、主にシステム開発を担うIT技術者の増員に充てられる計画です。年内には開発チームを30人規模へと拡大させ、貸し手と借り手を結びつけるマッチングの精度を飛躍的に向上させる方針を打ち出しています。利用者がより直感的に、そしてスムーズに理想の空間へとたどり着けるようなウェブサイトの構築を目指しており、その利便性の進化から目が離せません。
多種多様な空間がもたらす新しい集いの形
同社に登録されているスペースは順調にその数を伸ばしており、すでに1万2000カ所を突破しました。1時間という短い単位からレンタルが可能なため、一般的なビジネス会議はもちろん、アットホームなパーティーやスポーツ観戦など、用途は多岐にわたっています。近年はあえて日常のオフィスを離れ、リゾート地の別荘などで斬新なアイデアを練り上げる「オフサイトミーティング」の需要も急速に高まりを見せています。
さらに、消費税の軽減税率の導入が追い風となり、パーティー利用に新たなトレンドが生まれています。飲食店での外食に比べて税率面で有利になるケータリングを活用し、レンタルした空間で食事を楽しむスタイルが注目を集めているのです。この方法であれば、小さなお子様が一緒の集まりでも、周囲の目を気にすることなくリラックスして楽しい時間を過ごすことができるでしょう。
また、地方都市においては、古民家を借り切ってコスプレの撮影会を開く愛好家が増加するなど、ユニークな活用例も報告されています。これは単なる趣味の領域に留まらず、全国的な社会問題となっている空き家問題に対して、遊休資産を有効活用する画期的な解決策を提示していると言えます。眠っている不動産に新たな価値を与えるこの取り組みは、地域活性化の観点からも極めて意義深いものです。
大手企業との連携がもたらす圧倒的な利便性
スペースマーケットは次なる事業拡大へ向けて、多角的な企業アライアンスを加速させています。2019年12月には、不動産や小売業をはじめとする38社と共に「スペースマーケットパートナーズ」という新たな枠組みを始動させました。この取り組みには、東京建物や京浜急行電鉄といった大手電鉄・デベロッパーのほか、お酒の宅配で知られるなんでも酒やカクヤスなどが名を連ねています。
例えば、役割を終えた分譲マンションのショールームを登録してイベント会場として貸し出せば、所有企業にとっては新たな収益源へと生まれ変わります。一方で利用者は、空間を借りると同時に提携企業のネットワークを使って飲食物をデリバリーし、イベント終了後の面倒な片付けは清掃会社へアウトソーシングできるという、至れり尽くせりのワンストップサービスが実現可能になるのです。
このように各パートナー企業の強力な顧客基盤を通じてサービスが認知されれば、これまでシェアリングサービスに触れてこなかった層へも利用者の裾野が大きく広がっていくに違いありません。単に場所を貸し借りするだけのプラットフォームから、快適な体験そのものをトータルで提供するライフスタイルインフラへと、同社は確実な進化を遂げようとしています。
変化する労働環境と若い世代の意識に寄り添う
現代の多様な働き方の変化も、同社にとっては強力な追い風となっています。リモートワークを全面的に導入する新興企業などでは、全従業員が常に集まれる固定のオフィスを持たないケースが増加しています。その一方で、社内の結束力やコミュニケーションを重視する経営者は多く、その定期的な集まりの場としてスペースマーケットの空間が選ばれているのです。
最近のトレンドとして、真面目な全体会議を行った後、移動することなくその場でカジュアルな親睦会へと移行するケースが目立っています。世間では上司との堅苦しい飲み会を敬遠する「忘年会スルー」という言葉が話題になりましたが、若者世代の本音は決して交流そのものを嫌っているわけではありません。お互いが自然体でいられるフラットな空間だからこそ、新しいチーム構築が円滑に進むのです。
ネット右クリックで手軽に予約できる利便性を保ちつつ、店舗並みの清潔感や心地よさをいかに維持できるか。この課題に対して、清掃会社との細やかな連携を急ぐ同社の姿勢には非常に感銘を受けます。単なる場所の仲介業を超えて、人々の孤独を解消し、温かいコミュニティを創造していくスペースマーケットの挑戦を、これからも一人のファンとして熱く応援していきたいと思います。
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