世界中の経済リーダーが集まるスイス東部の保養地で、今年も熱い議論の幕が開けました。2020年1月21日に開幕した世界経済フォーラム年次総会、通称「ダボス会議」の冒頭にトランプ米大統領が登壇し、自信に満ちた演説を披露して注目を集めています。任期4年目となる2020年11月の大統領選挙を間近に控え、国内外へ向けて自身の経済的な実績を強力に誇示する絶好の舞台となったようです。
特に注目されたのが、長期化していた中国との貿易摩擦に関する発言でしょう。トランプ氏は、2020年1月15日に正式署名された「第1段階の合意」について、自らが発動した関税政策が相手国の譲歩を引き出す決定打になったと胸を張りました。不公正な貿易慣行を是正し、知的財産権の保護を勝ち取ったのは保護主義的なアプローチの成果であるという主張です。この強硬な姿勢には、次なる交渉を見据えた計算も透けて見えます。
こうしたトランプ氏の強気な外交手腕に対して、SNS上では「これぞアメリカ第一主義の勝利だ」と支持する声が上がる一方で、「世界経済を不安定にさせる独善的なやり方だ」といった警戒感を示す投稿も数多く見られ、世論を大きく二分しています。実利を最優先する彼の交渉術は、良くも悪くも世界中の人々を惹きつけてやまない魅力と危うさを秘めていると言えるでしょう。
好調な国内経済を誇示するアメリカモデルの自信
トランプ氏は演説の中で、自身の政権が推し進めてきた大型減税や規制緩和(ビジネスの足かせとなるルールを緩めること)によって、国内で700万人分もの雇用が創出された実績を強調しました。失業率が50年ぶりの低水準を記録したことや、株価が50%以上も上昇したことについても触れ、自らの政策がもたらした米国経済の活況を「世界の模範である」と言い切っています。
しかし、この輝かしい数字の裏では、富の偏りや社会の分断という深刻な課題も進行しているように思えてなりません。持続可能な成長のためには、株価のような目に見える指標だけでなく、中間層や困窮層への目配りも不可欠なはずです。経済的な成功のみを強調するトランプ氏の手法は、一過性の熱狂を生むカンフル剤としては強力ですが、長期的な国家の安定につながるのかについては、冷静に見極める必要があると感じます。
さらにトランプ氏は、野党である民主党の左派が掲げる富裕層への増税などの政策を「経済を破壊する急進的な社会主義だ」と激しく非難しました。自国市場の革新力や最新テクノロジーこそが課題解決の鍵であると訴え、自らの陣営の正当性を有権者へ強く印象付けています。米国内で激化する与野党のイデオロギー対立が、この国際舞台の演説にも色濃く反映された格好です。
そんな中、本国のアメリカではウクライナ疑惑を巡る大統領の弾劾裁判(大統領らの不正を裁く特別な裁判)の実質審理が開始され、政局は緊迫の度合いを増しています。トランプ氏はわずか1泊2日の強行軍でスイスを後にし、帰国してこの内憂の早期収拾を図る構えです。きらびやかな国際会議でのスポットライトの裏で、大統領選に向けた本国での泥沼の攻防が加速しています。
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