ヤフーのビッグデータが魅せる新ビジネス!700億PVの「不満検索」から誕生した大ヒット商品の秘密

現代のビジネスシーンにおいて、膨大な情報の集まりである「ビッグデータ」の活用が注目されています。そんな中、ヤフーが自社サービスから得られる膨大な統計データを他社へ開放する試みを2019年10月末から本格的に開始しました。このデータ量はなんと月間700億ページビューという国内最大級の規模を誇ります。すでに100社を超える企業や自治体が導入しており、営業の現場では見落としがちだった消費者の本音、いわば「消費インサイト」を導き出す画期的なツールとして、SNSでも「これはマーケティングの常識が変わる」と大きな話題を呼んでいます。

実際にこのデータを活用して2019年9月末に驚きのヒットを飛ばしたのが、三越伊勢丹のプライベートブランド「アームインアーム」です。同社が発売したロングスカートは、発売からわずか1週間で従来の最高売上の2.6倍を記録するという驚異的なロケットスタートを見せました。従来のカード会員データや店頭の声だけでは届かなかった「まだ来店していない未来の顧客」のニーズを、ヤフーのデータが見事に捉えた結果と言えるでしょう。

スポンサーリンク

質問サイトに隠されたママたちの「不満」がヒットの種

このヒットの裏側には、ヤフーが持つ質問投稿サイト「ヤフー知恵袋」などのデータを人工知能(AI)で詳細に分析したプロセスがありました。分析を進めると、20代から30代の女性たちが抱える「抱っこひもを使うとコーディネートが決まらない」「ロングスカートだと自転車に乗りづらい」といったリアルな悩みが浮き彫りになったのです。開発チームはこれに基づき、ポケットの位置を7センチメートル下げたり、肌が見えない巻きスカート風のデザインを採用したりして、見事に顧客の不満を解消する商品を作り上げました。

インターネット上には、一見すると些細な「不満」や「お悩み」が無数に書き込まれています。データ分析のプロフェッショナルであるヤフーの佐々木潔執行役員は、「ヒットの種は不満の中にある」と明言しています。消費者が何気なく検索する「不便」「足りない」といった言葉の中にこそ、まだ誰も気づいていない新しいビジネスのチャンスが隠されているという指摘は、非常に説得力があります。溢れるデータをおもしろツールで終わらせず、こうした企業の専門知識と掛け合わせることこそが、これからの時代に必要な姿勢ではないでしょうか。

アウトドア人気のブームを予測した老舗食品メーカーの変革

データの力は、老舗食品メーカーの挑戦も後押ししています。ミツカンは2019年9月、看板商品である「キムチ鍋つゆ」のテレビCMにおいて、約50年の歴史で初めてとなる「屋外での鍋パーティー」という演出を取り入れました。これもヤフーのデータを分析した際、「鍋 楽しさ」というキーワードの背景に「キャンプ」や「野外での男性の調理」という要素が浮かび上がったためです。この斬新なアプローチにより、ホームセンターなど新たな販売ルートの開拓にも成功しています。

さらに、この仕組みは混雑緩和という社会課題の解決にも応用されています。京都市観光協会は2019年9月から、観光地の混雑度を6カ月先まで予測するシステムを公式サイトに導入しました。また西武鉄道も2019年8月から9月にかけて、駅の混雑を30分刻みで予報する実証実験を行っています。未来の人の流れを予測して混雑を分散させる試みは、旅行者や通勤客の快適性を高めるだけでなく、地域全体の観光価値を高める素晴らしい取り組みだと感じます。

プライバシー保護と分析精度の両立が未来を握る

日本のトレンドや地域性がリアルタイムで可視化できるヤフーのサービスですが、今後の課題はプライバシーの保護と予測精度のバランスにあります。過去には、個人の信用度を数値化する「信用スコア」の取り組みで消費者から厳しい批判を受けた経緯もあり、現在は情報利用の同意設定を厳格化するなど、慎重な姿勢を崩していません。個人の特定につながらない統計データとしていかに価値を生み出せるかが、今後の命題となるでしょう。

世界的なIT巨人と比較しても、日本国内の多種多様なサービスから得られる濃密なデータこそがヤフーの最大の強みです。ただデータを抱え込むのではなく、多くの企業や自治体と手を取り合うことで、日本のものづくりやサービス業はよりクリエイティブに進化していくに違いありません。この膨大な「宝の山」が、私たちの生活をさらに豊かに変えてくれる未来がとても楽しみです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました