中国の湖北省武漢市を中心に拡大している新型コロナウイルスによる肺炎の影響が、日本の小売業界にも大きな波を広げています。現在、日本を訪れている中国人旅行者たちが、ドラッグストアやコンビニへ怒涛の勢いで詰めかけているのです。彼らのお目当ては、世界一とも評されるジャパンブランドのマスクに他なりません。
SNS上でも「どこのお店に行ってもマスクがごっそり消えている」「中国の方々が段ボール単位で購入していく姿を目撃した」といった驚きの声が相次いで投稿されています。2020年1月25日に春節という中国の旧正月を迎えたことで、人々の移動はさらに活発化しており、この爆買いの勢いはしばらく止まりそうにない気配です。
2020年1月24日の午前、東京都中央区にあるトモズ銀座三丁目店では、開店直後からマスクを買い求める中国人の姿が目立ち始めました。上海から訪れた男性は、地元メディアの報道を見て危機感を抱き、帰国を前に30枚以上をまとめ買いしたそうです。家族や友人の健康を守るため、必死に在庫を探す姿が印象に残ります。
香港から家族で訪れた女性は、現地ではすでにマスクが枯渇していると語り、旅先での調達を余儀なくされていました。このように深刻な状況下で、とりわけ需要が集中しているのが「N95」と呼ばれる高機能マスクです。これはアメリカの公的機関が定めた非常に厳しい規格をクリアした、微粒子を遮断できる医療用マスクを指します。
この頼もしい医療用アイテムを求めて、トモズでは購入者の9割を中国人が占める日もあり、1日で350個もの商品が売れる異例の事態となりました。さらにココカラファインでは、2020年1月20日から2020年1月21日にかけて免税店舗でのマスク販売額が前年の5割増を記録し、ウエルシアなど各社も急ピッチで在庫を積み増しています。
コンビニや免税店でも異変は起きており、ローソンでは中国系決済サービスによるマスクの購入数が前月の4倍以上に膨れ上がりました。ファミリーマートでも一部店舗で売上高が5割増となり、ラオックスではマスクに加えて空気清浄機の需要も高まっています。ウイルスを家庭内に持ち込まないための徹底的な自衛策と言えるでしょう。
ネット通販の世界でもこの熱狂は凄まじく、海外向け卸販売サイトでは、2020年1月1日から2020年1月20日までのマスク出荷額が前年同期比でなんと56倍という驚異的な数値を叩き出しました。特に香港からの注文が9割を占めており、そこから中国本土へと物資が流れている模様です。取扱商品の売り切れも続発しています。
こうした現状を目の当たりにすると、ウイルスの脅威に対する人々の恐怖心の強さが痛いほど伝わってきます。マスクは今や単なる予防グッズではなく、命を守るための盾です。パニックに陥ることなく、本当に必要とする世界中の人々に、一刻も早く十分な医療物資が行き渡るような流通の安定化を、切に願うばかりです。
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