外食産業の勢力図に激変?2019年12月の売上動向から見える忘年会スルーとファストフード好調の舞台裏

外食業界の勢力図が大きく塗り替わろうとしています。日経MJが発表した主要外食企業35社の2019年12月における既存店売上高のデータによると、増収を記録した企業が18社だったのに対し、17社が減収に追い込まれるという、まさに明暗がくっきりと分かれる結果になりました。

特に大きな話題を集めているのが、書き入れ時であるはずの居酒屋チェーンの苦戦です。SNS上では「忘年会スルー」という言葉がトレンド入りするほど、大人数での宴会を避ける傾向が強まっています。これには、私生活の時間を大切にする「働き方改革」の浸透や、若者のアルコール離れが深く関係していると言えるでしょう。

既存店売上高とは、開店から1年以上が経過した店舗の売上を比較した指標のことで、業界の純粋な好不調を見極めるために使われます。この数値を見ると、居酒屋は6社中4社が前年を下回りました。仕事帰りにサクッと飲んで早く帰るスタイルへの変化に、企業側もノンアルコール飲料の拡充などで必死に対応しています。

スポンサーリンク

カレンダーの不運に泣いたファミリーレストラン

2019年12月は、カレンダーの並びも外食産業に冷や水を浴びせました。改元に伴って天皇誕生日だった2019年12月23日が平日となり、例年よりも祝日が減少したのです。さらにクリスマス前後の週末の巡り合わせも悪く、家族連れをターゲットにするファミリーレストランは大打撃を受けました。

実際に5社中4社が減収を余儀なくされ、すかいらーくやセブン&アイ・フードシステムズでは、店舗を訪れるお客さんの数が7.5%も落ち込んでいます。そんな中で唯一、ロイヤルホストだけが増収を維持しました。贅沢感を味わえる高単価メニューに注力したことで、客数減少をカバーした戦略は見事です。

私はこの結果から、単に安さを追求するのではなく、「高くても価値があるもの」を求める消費者の二極化が進んでいると感じます。これからの外食産業は、家計を節約する一方で、特別な日にはお金を惜しまないという、気まぐれな現代人のニーズをいかに掴むかが生き残りの鍵になるはずです。

知恵と利便性で大躍進を遂げたファストフード

一方で、満面の笑みを浮かべているのがファストフード業界です。調査対象となった全6社が、売上高とお客さんの数の両方でプラスを叩き出しました。日本ケンタッキー・フライド・チキンは、祝日が減ることを見越して2019年11月からパーティー向けの限定パックを投入し、見事に需要を先取りしています。

また、麺類や定食のジャンルでは餃子の王将を展開する王将フードサービスが躍進しました。生ビールの割引キャンペーンで宴会需要をさらったほか、テイクアウトや宅配への対応を急いだことが功を奏しています。持ち帰りにかかる税率を低く抑える「軽減税率」の波を、味方につけた格好です。

ネット上では「マックやケンタは手軽でハズレがない」「軽減税率なら家で食べる方が楽」といった声が多く聞かれます。消費者は今、単なる美味しさだけでなく、タイパ(タイムパフォーマンス)や手軽さを外食に求めているのでしょう。このスピード感に対応できた企業こそが、今の勝者と言えます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました