ビジネスの現場において、今まさに革新的な変化が起きているのをご存知でしょうか。ITの力を駆使して、これまで複雑だった法律関連の業務を劇的に効率化する「リーガルテック」という分野が、急速に市場を拡大しています。これは「法律(Legal)」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語で、契約書の作成や確認といった法務手続きをシステム上で完結させる最先端の取り組みです。市場調査によると、2018年に228億円だった国内の市場規模は、2023年には353億円にまで達すると予測されています。
この急成長を支えている要因の一つが、人工知能(AI)との親和性の高さです。論理的な思考や過去の膨大なデータ分析が求められる法律の分野は、まさにAIが得意とする領域と言えるでしょう。SNS上でも「これまでの面倒な法務作業が数分で終わるなんて信じられない」「これからは契約書の確認で徹夜する必要がなくなるかも」といった、業務効率化に対する期待の声が数多く寄せられています。この巨大な波に乗り遅れまいと、多くのスタートアップ企業や大手の法律事務所が次々とこの市場へ参入し、開発競争は一気に激化しています。
特に注目を集めているのが、AIを活用した契約書の自動チェック支援サービスです。例えば、「AI-CON(アイコン)」を展開するジーバテックや、最先端のシステムを提供するリーガルフォースといった新興企業が、市場を力強く牽引しています。これらのサービスは、人間が読み込む代わりにAIが契約書のテキストを瞬時に解析し、企業にとって有利な条項か、あるいはリスクのある不利な内容かを項目ごとに見極めてくれます。法務専門のスタッフがいない中小企業にとっても、非常に心強い味方になるはずです。
さらに、リーガルテックの活躍の場は契約書の確認だけに留まりません。特許を申請する出願手続きや、外国人を雇用する際に必要となるビザの取得など、これまで弁護士や行政書士といった専門家が手作業で行っていた高度な業務を代行するサービスも、多くの企業から人気を集めています。こうした動きに対して、長島・大野・常松法律事務所のような国内屈指の大手法律事務所も、AI開発を手がけるモンテスキューへの出資を決めるなど、先進的なIT企業との提携戦略を急ピッチで進めています。
しかし、世界に目を向けると、日本以上に凄まじいスピードで進化を遂げている国が存在します。それがリーガルテック先進国であるアメリカです。電子署名の世界最大手であるドキュサインは、2019年1月期の売上高として約7億ドル(日本円で約760億円)という驚異的な数字を記録しました。また、契約管理クラウドサービスを提供する米アイサーティスは、2019年7月に約120億円もの巨額の資金調達に成功し、企業価値が10億ドルを超える未上場企業、いわゆる「ユニコーン企業」へと急成長を遂げています。
このように海外で巨大な実績を持つ外資系企業は、日本市場の動向をじっと窺っています。日本の行政手続きや企業のデジタル化が今後さらに進めば、こうした強力な海外勢が日本へ本格的に上陸し、市場を一気に塗り替えてしまう可能性も否定できません。現在、電子契約の分野で国内をリードしている弁護士ドットコムにとっては、今のうちに先行優位のポジションを確固たるものにできるかどうかが、今後の持続的な成長を左右する最大の鍵となるでしょう。
私自身の見解としましては、このリーガルテックの普及は単なる業務のデジタル化に留まらず、日本のビジネス全体のスピード感を劇的に加速させる起爆剤になると確信しています。これまで日本の企業は、契約書の文言確認や法務部の承認を得るまでに多くの時間を費やし、意思決定の遅さが課題となるケースが少なくありませんでした。AIによる瞬時のリスク判定が定着すれば、契約に要する時間は劇的に短縮され、企業の競争力は世界レベルへと引き上げられるはずです。今後の動向から目が離せません。
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