今、多くの企業が「働きやすさのお墨付き」を求めて熱い視線を注ぐ民間制度があります。それが、一般財団法人日本次世代企業普及機構、通称「ホワイト財団」が運営する「ホワイト企業認定」です。2019年の1年間だけで申請企業数が400社を突破し、ビジネス界で大きなトレンドとなっています。しかしその認定率は1割に満たないという驚きの「狭き門」なのです。厳しい審査をクリアした企業だけが、真の優良企業として認められる時代が到来していると言えるでしょう。
SNS上でもこの動きは大きな話題を集めています。「就職活動や転職のときに、この認定があるかどうかは絶対チェックする」「ブラック企業を見極めるための確実な指標になるので、もっと普及してほしい」といった、求職者側からの切実な期待の声が多数寄せられているのです。これほどまでに注目される背景には、単なるイメージアップにとどまらない、非常に具体的で多角的な評価システムが存在します。
この認定制度最大の特徴は、企業のあり方を6つの専門分野から総合的にジャッジする点にあります。評価されるのは「ビジネスモデルと生産性」「ワークライフバランスと健康経営」「ダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包括・一体性)」「柔軟な働き方」「人材育成と働きがい」「法令順守」という、現代の企業経営に欠かせない要素ばかりです。
ここで注目したい「ダイバーシティー」や「インクルージョン」とは、性別や国籍、年齢を問わず多様な人材を受け入れ、それぞれの個性を活かして一体となって働く環境を目指す取り組みを指します。また「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。これらを網羅し、法令順守で満点を獲得した上で、全体の6割以上のスコアを獲得した企業だけが晴れて認定を受けられます。
インターネットから手軽に自己申告できる設問には、「メンタルヘルス相談窓口の設置」や「テレワークの導入」といった具体的なチェック項目が並びます。回答を進めるだけで、自社に足りない取り組みが自然と浮き彫りになる仕組みです。その後は、専門家である社会保険労務士(社労士)が財務諸表などの提出資料を厳しくチェックし、制度が形骸化せず本当に運用されているかまでを見極めます。
審査結果は五角形のレーダーチャートで視覚化されるため、自社の強みと弱みが一目で分かります。見事認定された企業からは「会社説明会で働き方のバランスをアピールしやすくなった」「面接で認定企業であることを志望動機に挙げる求職者が現れた」と、採用活動への絶大な効果を実感する声が上がっているのです。2019年12月31日までのデータでは415社が申請し、ニトリホールディングスや田辺三菱製薬など33社が認定を勝ち取りました。
前向きな経営改善が地方へ広がる未来
ホワイト財団では、先進的な労務制度の事例を共有する「ホワイト企業アワード」を年1回開催し、企業のモチベーションを高めています。さらに、企業の課題に合わせて福利厚生やクラウド会計などの専門サービスを紹介する「ホワイトパートナー」制度も展開中です。全国約80の社労士事務所とも連携し、データを基にした労務改善コンサルティング業務も本格化しています。
日本の労働環境を変えたいという強い意志が、この制度の根底には流れています。これまでの法改正の歴史を振り返ると、残念ながら「どうすれば法律の抜け穴をくぐり抜けてコストを削れるか」といった後ろ向きな相談に終始する企業が少なくありませんでした。しかし、この認定制度は企業に自発的で前向きな経営改善を促す素晴らしい起爆剤になると、私は強く確信しています。
国が主導する子育て支援の「くるみん」や「健康経営優良法人認定制度」もありますが、法令順守から生産性までを民間の視点で一括評価する試みは非常に画期的です。今後はハードルを少し下げた新基準も検討されており、2022年までに累計認定企業を200社まで増やす計画が進んでいます。この波が地方の中小企業へ波及したとき、日本の働き方は真の変革を迎えるでしょう。
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