オーストラリアで発生した大規模な火災や、世界各地で目撃される異常気象を目の当たりにし、私たちは「気候変動はもはや待ったなしの状況だ」と痛感しています。地球温暖化の原因となるガスの排出を抑えるという、人類にとって極めて困難な課題に対し、これまでのアプローチを抜本的に見直すべき時が来ているのではないでしょうか。2020年2月3日現在の視点で、この問題の本質を改めて考えます。
経済学において、温暖化ガスの過剰排出は「市場の失敗」と呼ばれます。放っておけば利潤追求が優先され、社会的に好ましくない結果を招くからです。この是正策として、これまで政府による「規制」や、計画的に排出削減を目指す「エンジニアリング的手法」が用いられてきました。しかし、厳格な規制だけで世界中の行動を管理するのは非現実的ですし、政府主導の計画的な削減にも限界が見え隠れしています。
インセンティブが未来を切り開く
私は、この大きな課題を解決するためには、人々の行動原理である「インセンティブ(意欲をかき立てる仕組み)」に直接訴えかけるメカニズムが必要だと考えます。その代表例が「カーボンタックス」です。炭素燃料の使用に税を課すことで、排出を抑制するだけでなく、新たな技術革新を生み出す強力なエンジンとなります。ただし、劇薬であるがゆえに政治的な導入障壁が高いのが現実です。
そこで今、市場を動かす原動力として「ESG投資」や「SDGs投資」への注目が急速に高まっています。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)の頭文字をとったもので、これらに配慮している企業を重視する投資手法です。また、事業運営に使う電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目標とする「RE100」のような活動も、企業価値を左右する重要な指標となっています。
SNS上では「環境対策をしていない企業は、将来的に投資家から見放されるのではないか」「これからはサプライチェーン全体での脱炭素が当たり前になる」といった声が数多く上がっています。実際、環境への取り組みが市場取引の選別基準となりつつあるのは明白です。
私は、こうした投資のあり方が資金の流れを大きく変えることに大きな期待を寄せています。環境問題への対応が企業の競争力に直結する時代は、すぐそこまで来ています。企業が主体的にこの波に乗り、技術革新を加速させることこそが、未来の地球を守る最善の道ではないでしょうか。
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