日産自動車の筆頭株主であるフランスの自動車大手ルノー。そのジャンドミニク・スナール会長が2019年6月26日、日産との資本関係を見直すことについて、「時間が必要だ。一晩でどうこうなるものではない」と、当面は変更が難しいという見解を明らかにされました。ルノーは現在、日産の議決権のある株式の43%を保有しており、一方の日産はルノーに対し議決権のない株式を15%持っているという、「不平等だ」との声もあるいびつな出資比率の解消は、すぐに実現するわけではないようです。スナール会長は、現状を維持しつつ、日仏のアライアンス(企業連合)の立て直しを最優先する姿勢を強調されています。
この発言は、スナール会長が日産の定時株主総会出席のために来日された際、東京都内で日本メディアの取材に応じた中で飛び出しました。2019年4月から日産の取締役も兼務し、新たに設置された指名委員会の委員にも就任された同会長は、日産側が抱える「不平等感」について深く理解を示されている様子です。「なぜ(日産が)悪い方向にとらえているかを考えなければいけない」と述べる一方で、「私はキャリアを通して、友好的な方法でのみ会社を経営してきた」と、今後このデリケートな問題に関して日産と対話していく可能性にも言及されました。
日仏アライアンスの資本関係の見直しについては、ルノーの筆頭株主であるフランス政府からも提言が出ているところです。フランスのルメール経済・財務相は、2019年6月、より効率的なガバナンス(企業統治)につながるならば、ルノーが日産への出資比率を引き下げる可能性もあり得るとの考えを示されました。しかし、スナール会長は「私は関係が変わるべきだと言っているわけではない」と語り、出資比率の引き下げについては慎重な姿勢を崩していないご様子です。この発言からは、アライアンスの安定と再建を最優先したいという、会長の強い意思が感じられます。
「量より質」へ! ゴーン被告の拡大路線からの脱却
また、スナール会長は、日仏連合の中期目標について「台数だけを求めることはしない」と明言されました。これは、前会長であるカルロス・ゴーン被告の時代の「規模拡大路線」からの明確な脱却を改めて示すものでしょう。日産、ルノー、そして三菱自動車を加えた3社連合は、2022年に2018年比で30%増となる1400万台の販売目標を掲げていましたが、同会長はすでにこの計画を見直す方針を決定済みだと述べています。ただし、見直しを実施する具体的な時期については言及を避けられました。
自動車業界の編集者として、私はこの「量から質へ」の転換は、非常に重要かつ賢明な判断だと評価しています。台数至上主義に陥り、無理な目標を追いかけることは、企業体質を疲弊させ、長期的な競争力を削いでしまう危険性があるからです。ガバナンスを確立し、足元を固め、真に収益性の高い事業に注力することこそが、この巨大アライアンスが生き残るための道だと考えられます。
マクロン大統領の発言とSNSの反響
スナール会長の来日と時を同じくして、2019年6月26日にはフランスのエマニュエル・マクロン大統領も来日され、このアライアンスの重要性について言及されています。大統領は、安倍晋三首相との共同記者会見の中で、「自動運転車などいろいろな競争に勝つためにもアライアンスは重要だ」と強調されました。また、ゴーン被告についても、「自国民のあらゆる権利が確保されることは重要だ。推定無罪の原則は尊重すべきだ」と述べられています。
ルノーが日産株の43%を持つという「不平等な資本関係」については、SNS上でも大きな反響を呼んでいます。特に日本では、「ルノー主導のアライアンスは限界」「日産の技術が一方的に利用されている」といった、資本の対等化を求める声が非常に多いようです。一方で、「アライアンス解消は両社にとってリスクが大きすぎる」「まずは技術開発での協力を深化させるべき」といった、慎重な意見も散見されます。ルノー側が慎重姿勢を示したことで、日産とフランス政府との間に立たされたスナール会長の手腕に、今後ますます注目が集まることになるでしょう。
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