群馬県の県庁所在地である前橋市の未来を占う市長選挙が、2020年2月9日に投開票されました。任期満了に伴う今回の激戦を制したのは、現職の山本龍氏です。元県議の岩上憲司氏をはじめとする無所属の新顔5人を退け、見事に3回目の当選を果たしました。
当選の知らせが選挙事務所に届いたのは、2020年2月9日の午後10時前とのことです。集まった多くの支持者から温かい拍手で迎えられた山本氏は、引き締まった表情を見せていました。「これまで積み重ねてきた施策をブレずに貫いていく」と力強く宣言し、次なる4年間への決意を表明しています。
今回の投票率は43.16%を記録し、2016年に行われた前回選挙の30.97%を大きく上回る結果となりました。背景には、過去最多となる6人が立候補したことがあります。さらに、自民党籍を持つ候補者が3人も出馬したことで、保守層の支持が分かれる「保守分裂選挙」となったことも有権者の関心を高めた要因でしょう。
SNS上でもこの選挙は大きな注目を集めており、「前橋のこれからの街づくりがどうなるのか気になる」「候補者が多くて選択肢が増えたのは良いことだ」といった熱い書き込みが相次いでいました。激戦となった裏には、これまでの市政運営に対する市民のリアルな不満や変化を求める声が隠されているようです。
中心街の活性化という重い課題
市民の間で特に批判が集まっていたのが、活気を失った中心市街地の現状です。実は、前橋市の中心街における歩行者の通行量は、2015年度までの約20年間でなんと約8割も減少してしまいました。現在も平日の商店街は人通りがまばらで、他都市をよく知るビジネスマンからも寂しさを指摘されるほどです。
こうした課題に対し、山本氏は市のお金を節約しつつ、民間のパワーを最大限に活かして街を元気にする手法を推進してきました。地元企業と対話を重ね、アイウェア大手のジンズホールディングスを率いる田中仁社長らの協力を得ることに成功したのです。民間主導の取り組みは、これからの地方創生において極めて重要な鍵となります。
田中社長らは2016年に「めぶく。」という先進的な街づくりビジョンを策定しました。彼らは魅力的な飲食店を誘致するなど、中心街に活気を取り戻すための具体的なアクションを起こしています。行政がすべてを抱え込むのではなく、地元の熱意ある経営者とタッグを組む姿勢は非常に現代的であり、評価すべき点でしょう。
ポートランドをお手本にした新戦略の行方
さらに山本氏は、2017年に「全米一住みやすい街」として名高いアメリカのポートランドを視察しました。ポートランドは、路面電車などの公共交通機関を整備して移動を便利にすることで、中心街へ民間の投資を呼び込んだ都市です。同時に、美しい景観や秩序を守るためのルール(ガイドライン)を定めて成功を収めました。
前橋市もこの先進事例を参考に、2019年秋にようやく街づくりのガイドラインを完成させたばかりです。これによって、中心街を生まれ変わらせるための土台が整いました。しかし、現時点ではまだ一部の経営者による活動が目立つ段階にとどまっており、市民全体が「街が変わった」と実感するまでには至っていません。
ネット上では「魅力的なお店が増えてワクワクする」という期待の声がある一方で、「一部の人たちだけでなく、もっと市民を巻き込んでほしい」という冷静な意見も見られます。民間主導のアイデアを素早く形にする機動力は素晴らしいですが、それを持続可能なものにするためには、やはり地域全体の深い理解と参加が欠かせません。
人口減少や景気の先行き不透明感など、前橋市が直面するハードルは決して低くありません。せっかく芽吹き始めた街づくりの種を、3期目を迎えた山本市政がどこまで大きな大樹へと育て上げられるでしょうか。これからの4年間で見せてもらう具体的な成果と、その手腕に日本中からの注目が集まっています。
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