世界的な観光都市である京都の玄関口、JR京都駅前が今、ホテル開発の熱気に包まれています。特に注目すべきは、JR西日本グループが2019年5月30日に仕掛ける、2施設の同時全面開業という大攻勢でしょう。これによって、既存の駅ビル内ホテルと合わせた同グループの客室数は、従来の約2.7倍にあたる約1,430室にまで一気に増加する見通しです。この数字は、これまで同駅周辺で存在感を示してきた京阪ホールディングス(HD)の約1,280室を上回る規模となり、宿泊需要の争奪戦は新たな局面を迎えます。
今回、新たに全面開業を迎えるのは、八条口から徒歩2分の好立地にある「ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA」と、その隣に位置する「ヴィアイン京都駅八条口」の二つです。「ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA」は客室数423室、「ヴィアイン京都駅八条口」は客室数468室と、合わせて900室近い供給力を持つことになります。JR西日本グループは、スイートルームや大型宴会場を備える基幹ホテルの「ホテルグランヴィア京都」と連携し、国際会議やイベントなどのMICE(マイス)需要の取り込みを強化する戦略を打ち出しています。
この「MICE」とは、企業の会議(Meetings)、報奨・招待旅行(Incentives)、国際会議(Conventions)、展示会・見本市(Exhibitions)といったビジネス交流の総称です。単なる観光客だけでなく、高付加価値な国際ビジネス層を呼び込むことで、京都全体の宿泊単価を引き上げようという意図が見て取れます。SNSでは、「京都駅前にこんなにホテルができたら料金はどうなる?」「利便性が上がって嬉しいが、予約は取りやすくなるのか」といった、価格と供給に関する期待や懸念の声が入り混じっています。
しかし、ライバルたちも黙ってはいません。京阪HDは、今年2019年1月に最高級クラスの「THE THOUSAND KYOTO」を開業させたばかりで、さらに2020年には約200室の新ホテル開業も予定しているのです。また、JR西日本の開業に先立ち、エイチ・アイ・エス(HIS)グループの「変なホテル京都八条口駅前」が3月に開業。夏には三井不動産が「三井ガーデンホテル京都駅前」を8月に開くなど、駅周辺はまさに建設ラッシュ状態にあると言えるでしょう。
私は、この過熱するホテル開発こそ、インバウンド需要に対する日本企業の貪欲な姿勢の表れだと評価しています。特に京都駅は、外国人観光客にとって日本の旅の玄関口であり、競争が激しくなるほどサービスの質と利便性が向上するのは消費者にとって歓迎すべきことです。地域における客室数トップの座を巡るJR西日本と京阪HDの激しい争いは、観光客の利便性に直結するため、今後もその動向から目が離せそうにありませんね。
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