北海道の地銀が直面する「自治体融資」依存の光と影!地域経済の活性化に向けた真の競争力とは?

2019年07月03日、北海道の金融シーンを揺るがす興味深いデータが明らかになりました。道内を代表する北洋銀行と北海道銀行において、地方自治体への融資比率が異例の高水準に達しているのです。北洋銀行では融資全体の約3割、北海道銀行でも約2割を占めており、全国平均である7%という数字を大きく上回る事態となっています。この現象は、地元メディアやSNS上でも「地銀のあり方が問われている」と大きな注目を集めました。

SNSでは、このニュースに対して「倒産リスクのない自治体への貸し出しは安全策だが、攻めの姿勢が足りないのではないか」といった厳しい意見が見受けられます。また、地域住民からは「預けたお金が地元の身近な企業ではなく、役所の予算に回っているのは複雑な気分だ」という素直な戸惑いの声も上がっているようです。安全性を重視する銀行の論理と、地域経済のダイナミズムを求める利用者の期待との間で、大きな認識のギャップが生じていることが浮き彫りになりました。

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巨大な財政規模を支える地銀の苦悩と役割

なぜ、これほどまでに自治体への融資が膨らんでいるのでしょうか。その背景には、北海道特有の広大な土地と厳しい気候条件が深く関わっています。道庁の予算規模は東京都に次ぐ全国屈指の大きさであり、インフラ維持や除雪費用といった固定費が財政を圧迫しているのが現状です。さらに、国が公的資金から低利の民間資金への借り換えを促した制度改革が追い風となり、自治体はこぞって民間の銀行へ資金を求めるようになりました。まさに地域特有の必然が生んだ結果と言えます。

ここで注目したいのは「指定金融機関」という仕組みです。これは自治体の公金を管理し、支払いや収納といった事務を独占的に請け負う役割を指します。2019年時点で北洋銀行は35、北海道銀行は16の自治体でこの重責を担っています。銀行側は「資金を眠らせるよりは、地域貢献の意味も含めて貸し出すべきだ」というスタンスを崩していません。たとえ利回りが低くても、地域社会の基盤を支えるコストとして受け入れている側面があるのでしょう。

利ざやの薄さと「目利き力」低下への警鐘

しかし、この安定した「自治体依存」には見過ごせないリスクも潜んでいます。自治体向け融資は入札制が基本であるため、北洋銀行の例で見ると利回りは約0.3%と極めて低水準です。これは全体の平均利回りと比較して3分の1程度に過ぎません。リスクが低いとはいえ、収益性の低い案件にばかり注力していては、銀行としての稼ぐ力が徐々に失われてしまいます。メガバンクや一部の信用金庫が自治体融資から距離を置き始めている現状とは対照的な動きです。

さらに深刻な懸念として、専門家からは「行員の審査能力の低下」を指摘する声も上がっています。自治体への融資は、民間企業のように複雑な財務分析や将来予測を必要としません。そのため、本来銀行員が磨くべき「事業性評価」の能力が鈍ってしまう恐れがあるのです。事業性評価とは、決算書上の数字だけでなく、企業の技術力や経営者の資質といった目に見えない価値を見抜く力のことです。この「目利き」ができなければ、次世代を担うベンチャー企業の育成は難しくなるでしょう。

編集者の視点:地銀は今こそ「地域の伴走者」へ立ち返れ

筆者の個人的な見解としては、自治体への融資比率が高止まりしている現状は、道内における「民間の資金需要の冷え込み」を鏡のように映し出していると感じます。銀行がリスクを恐れて安全な貸し出しに逃げているというよりも、魅力的な投資先や成長意欲のある企業が不足していることが根本的な課題ではないでしょうか。地銀が本来の競争力を取り戻すためには、単なる「金貸し」から、一歩踏み込んだ「ビジネスの相談役」へと進化する必要があります。

銀行員が自治体の事務作業や定型的な融資に追われるのではなく、地元中小企業の現場へ足を運び、共に新しいビジネスを創出する情熱を持つことが不可欠です。自治体融資で築いた安定した基盤があるからこそ、その余力をリスクの高い創業支援や事業承継に振り向けるべきでしょう。北の大地の経済を再び熱く焦がすためには、地銀が自治体のサイフ番に留まらず、民間企業の背中を強く押し出す「伴走者」として覚醒することを切に願って止みません。

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