2019年6月6日、東京商工リサーチ新潟支店が発表した新潟県内の2019年5月における倒産状況は、非常に注目すべき内容となっています。負債額1,000万円以上の倒産件数は、前年同月と比べて5件減少のわずか4件で、負債総額も前年同月比で18.9%減となる7億1,400万円に留まりました。この件数・負債総額は、5月としては過去30年間で最低水準という驚くべき数字で、新潟県経済の安定を示す一つの指標と捉えることができるでしょう。
特に、負債額が10億円を超えるような大型倒産の発生は、これで11カ月連続で確認されていません。倒産の内訳を見てみると、負債額が1億円以上10億円未満の中規模倒産が3件、1億円未満の倒産が1件という構成になっています。倒産件数が1桁で推移するのは11カ月連続となっており、低水準での安定傾向が続いている状況です。この明るいニュースに対し、SNSでは「新潟の景気が良い証拠ではないか」「中小企業を支援する取り組みが実を結んでいるのかもしれない」といった期待の声が寄せられています。
しかしながら、この低水準の背景には、金融機関の新たな取引姿勢が影響している可能性もあります。東京商工リサーチ新潟支店は、金融機関が企業の将来性を重視する事業性評価を本格的に展開している点を踏まえ、「金融機関の取引姿勢の動向に注目する必要がある」と警鐘を鳴らしています。事業性評価とは、企業が持つ技術やビジネスモデル、成長の見込みといった、目に見えにくい将来性をしっかり見極めて融資や取引を行う手法のことです。従来の担保や過去の実績だけでなく、企業のポテンシャルを評価する視点への変化が、結果的に倒産を食い止めている側面があるのかもしれません。
筆者としては、単に倒産が少ないことを喜ぶだけでなく、その質にも目を向ける必要があると考えます。金融機関の事業性評価によって、一時的に資金繰りが改善し倒産を回避している企業がある一方、真に事業を継続する力が乏しい企業の息切れ倒産や、後継者不足による休廃業・解散が増加する可能性も指摘されています。倒産件数が減ることは望ましいことですが、実態として活力のある企業がどれだけ育っているか、そして地域経済の持続的な成長に結びついているのかを、今後も厳しく見守っていくべきでしょう。
コメント