毎日の買い物で「少し物価が上がったかな」と感じる局面が増えてはいませんか。厚生労働省が2020年1月23日に発表した「毎月勤労統計調査」の速報値によると、私たちの生活実感に直結する「実質賃金」が、2019年11月において前年の同じ月と比べて0.9%減少したことが明らかになりました。実質賃金とは、実際に受け取った給与の額面から、物価の変動による影響を差し引いて計算した、買い物のしやすさを表す指標のことです。つまり、物価の上昇に対してお給料の伸びが追いついていない状況を示しています。
お財布事情が厳しくなった背景には、基本給以外の部分が大きく関係しているようです。労働者1人あたりが受け取った名目賃金、いわゆる額面通りの「現金給与総額」は28万4652円で、前年同月比0.2%の微減となりました。細かく内訳を覗いてみると、基本給に該当する所定内給与自体は0.2%増えているものの、残業代などの所定外給与が1.9%減少しています。さらに冬のボーナスなどが含まれる特別に支払われた給与にいたっては、3.9%も大幅に落ち込んでしまいました。
この冷え込みに対し、SNS上でも「基本給が微増してもボーナスが削られたら意味がない」「消費税増税に物価高が重なり、実質賃金のマイナスは本当に死活問題だ」といった悲痛な声が相次いでいます。生活の防衛策として外食を控え、節約志向をさらに強めるという書き込みも目立ち、家計の深刻な警戒感が浮き彫りになりました。企業が業績への不安から賞与の支給を手控えている様子が窺え、働く側としては非常に歯がゆい現状と言わざるを得ません。
一方で、すべての雇用形態が暗いわけではなく、明るい兆しも一部に見られます。今回の調査では、パートタイム労働者として働く方々の雇用環境が引き続き堅調に推移していると分かりました。具体的には、1時間あたりの給与が前年の同じ月より3.0%も上昇し、1176円を記録しています。さらに労働者全体に占めるパートタイム労働者の割合も、0.31ポイント上昇して31.53%に達しました。人手不足を背景とした待遇改善の波が、確実に押し寄せている証拠でしょう。
筆者の視点として、このパートタイムの時給上昇は評価すべきですが、正社員も含めた社会全体の購買力を底上げするには、未だ不十分であると考えます。どれだけ基本給が底上げされても、一時金や残業代の減少で相殺されてしまっては、景気の好循環は生まれません。企業側には、一時的な業績に左右されにくい、持続可能で安定した賃金還元の仕組み作りを強く求めたいところです。家計が安心して消費を楽しめる社会の実現へ向けて、今後の動向が注目されます。
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