日本の上場企業の間で、かつては当たり前のように導入されていた買収防衛策を廃止する流れが広がっています。この防衛策とは、敵対的な企業買収から自社を守るための仕組みのことで、導入企業はピーク時から4割も減少しているのです。これは、日本企業が市場のプレッシャー、すなわち「モノ言う株主」などの厳しい視線と資本市場の原理に、ついに正面から向き合う覚悟を決めたようにも見えますでしょう。
ところが、この廃止の流れに真っ向から逆行する、極めて象徴的な事例が浮上してきました。過去に防衛策を廃止した企業が、再びその導入を試みているというニュースです。2019年6月の株主総会では、日邦産業と乾汽船の少なくとも2社が、防衛策の再導入を株主に対して諮る予定だと報じられています。
両社がこの異例の行動に出た背景には、ここ数カ月間にフリージア・マクロスやアルファレオホールディングスといった大株主によって、それぞれ2割前後の株式を買い占められたという事実があります。彼ら**「モノ言う株主」の強い圧力、具体的には経営陣の刷新や資産売却などを求める要求に耐えかねて、やむを得ず再導入へと動いたものと推測されますね。
市場が嫌気する「防衛策」の重い代償
この再導入のニュースが公表されて以降、両社の株価はすぐに反応を示しました。日邦産業の株価は12%下落し、乾汽船の株価も6%下落しています。なぜなら、市場はこの動きを強く嫌気しているからです。買収防衛策があると、経営者が怠慢になったり、企業価値向上の努力を怠ったりしても、市場の圧力によって株価が上がる機会**、すなわち買収プレミアムが乗る可能性を失いかねないと考えられています。
モノ言う株主であるストラテジックキャピタルの丸木強代表は、「防衛策を導入する企業は、自社の株価が割安であることを経営者自身が自認しているようなものだ」と手厳しい見解を示しています。防衛策が廃止されれば、経営者は株価が割安な状態にならないように、懸命に企業価値の向上に努めるだろうと市場は期待しています。だからこそ、廃止の流れは海外投資家からも歓迎されていたのです。
私の意見ですが、この再導入の動きは、日本企業が資本市場と向き合う「覚悟」が、依然として表面的なものに留まっている可能性を示唆していると言わざるを得ません。SNS上でも、「また守りに入ったのか」「結局、経営陣は自分の椅子が大事なんだな」「株主還元をちゃんとすれば買収なんてされない」といった、厳しい批判の声が多く見られました。
もし、いざ買収されそうになると防衛策を再導入するのであれば、防衛策の減少を喜んでいた海外投資家の期待は**「ぬか喜びに終わる」ことになってしまいます。この一連の動きは、日本企業が今後、真に企業価値向上と株主利益を両立させられるのかどうか、その本気度**が問われている非常に重要な局面だと認識すべきでしょう。
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