政府は2019年6月中旬にも、日本のデジタル社会の未来を大きく左右する新たなIT(情報技術)戦略を閣議決定する見通しです。この戦略の目玉となるのが、全国に約20万基ある自治体設置の信号機を、NTTドコモやKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルといった国内の通信4社に対し、次世代通信規格「5G(ファイブジー)」の基地局として開放するという画期的な構想なのです。既存のインフラを最大限に活用することで、世界で激化している5Gの普及競争において、日本が低コストかつスピーディーに展開を実現できると期待されています。
高速大容量・低遅延を実現する5Gは、日本のデジタル社会を支える公共インフラとして位置づけられており、その普及は喫緊の課題となっています。5Gの電波、特に現行で割り当てられている28ギガヘルツ帯などの高い周波数は、従来の4Gに比べて電波が届く距離が短く、その範囲は半径数百メートル程度とされています。そのため、広いエリアをカバーし、途切れにくいネットワークを構築するには、全国に数十万規模という、非常に「きめ細かなエリア展開」のための基地局整備が必要不可欠となってくるでしょう。通信各社は4Gよりもはるかに多くの基地局を設置しなければなりません。
しかし、都市部では基地局の設置スペースがすでに飽和しており、ビル屋上への新設も困難な状況です。さらに、地権者との交渉には手間と時間がかかるため、普及のスピードを鈍化させる要因となっていました。そこで、日本が他の国に比べて面積あたりの信号機数が多いという特徴を逆手にとり、全国約20万基の信号機を有効活用するのです。これにより、基地局の設置スピードは格段に向上し、投資費用の大幅な圧縮も期待できます。例えば、ドコモが2018年度末までに4G基地局に投じた累計投資額は約2.4兆円、1局あたり約1千万円のコストがかかっていますが、信号機利用によってこのコストを大きく抑制できる可能性が高いというわけです。
通信会社側が費用を負担する形で、信号機に「IoT(アイオーティー)」の機能を持つITセンサーを取り付けます。IoTとは「Internet of Things」の略で、身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながる仕組みのことです。政府が目指すのは、災害時でも不通にならない「トラステッド・メッシュネット(信頼できる通信網)」の構築です。このネットワークは、通信会社、警察、自治体などが相互にアクセスできない独立した形で利用される計画です。
この取り組みは、単に5Gを普及させるだけでなく、私たちの生活を豊かにする住民サービスにも直結します。信号機を所有・管理する自治体は、5G基地局を搭載した信号機から周辺の交通状況を自動送信することで、自動運転の実現を大きく後押しします。たとえば、高齢者や子どもが歩いている情報を自動車に伝達したり、リアルタイムの交通量に基づいて渋滞を回避するルートを提案したりすることが可能になるでしょう。さらに、災害時には信号機にマイナンバーカードをかざすことで、自治体が住民の安否確認を行い、家族に知らせるサービスなども想定されています。
この斬新な戦略は、TwitterなどのSNSでも大きな反響を呼んでいます。「これは天才的なアイデア!」「海外では考えられない日本ならではのインフラ活用だ」といった称賛の声が多数見受けられます。一方で、「通信会社だけでなく自治体も費用を負担するのか」「災害時のプライバシー保護はどうなるのか」といった懸念の声も上がっており、今後の具体的な協議の進展が注目されます。私個人の意見としては、これは既存インフラの活用という点において、世界に誇れる極めて合理的な一手だと考えられます。5G普及のボトルネックを解消し、同時に社会課題の解決にも貢献する、まさに一石二鳥の妙手と言えるでしょう。
政府は2019年6月7日のIT総合戦略本部で新戦略を示し、今夏以降、総務省、警察庁、国土交通省など関係省庁と自治体が協議会を立ち上げて具体的な調整を進める方針です。2020年度から複数の都市で実験を開始し、2023年度の全国展開を目指しているのです。信号機が未来のIoT社会を支える「情報ハブ」へと進化を遂げる日を、楽しみに待ちましょう。
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