アパレル業界において、売上を左右する最大の鍵は「販売員の接客力」にあります。しかし、これまで熟練スタッフのトーク術は長年の経験による「勘」や「センス」に委ねられてきました。2019年07月10日、コンサルティングを手掛けるスマートウィル社が、この属人的なスキルを科学的に解き明かす画期的なサービスを開始しました。ソフトウェア開発のコグニティ社と連携して誕生した「AIスマートトーク」は、まさに接客の「見える化」を実現する最新のソリューションです。
SNS上では、このニュースに対して「自分の接客を客観的に見るのは怖いけれど、上達の近道になりそう」「店長によって指導内容がバラバラなのが悩みだったので、基準ができるのは嬉しい」といった期待の声が数多く寄せられています。特に若手販売員の間では、具体的な改善点が明確になることへのメリットを感じる人が多いようです。人手不足が深刻化するファッション業界で、限られたスタッフの質をいかに底上げするかという課題に、人工知能が力強い答えを提示してくれました。
トップ販売員の「売れる理由」を20ページのレポートで徹底解析
サービスの仕組みは非常にシンプルで、専用のボイスレコーダーやスマートフォンのアプリを使用して、実際の接客内容を録音するだけで完了します。このデータをAIが解析し、約1ヶ月後には個人の傾向やチーム全体の分析結果がまとめられた、約20ページにも及ぶ詳細なリポートが手元に届く仕組みです。ハイパフォーマーと呼ばれる優秀なスタッフと、伸び悩んでいるスタッフのトークを比較することで、これまで言葉にできなかった「売れる理由」が一目で把握できるようになります。
AIが分析するのは、単なる言葉数ではありません。「提案」や「客観的な説明」、あるいは自分の体験を交えた「共感による説得」といった5つの要素が、どのような比率で構成されているかをグラフ化します。これにより、お客様が納得感を得やすい話の流れができているかを客観的に評価できるのです。2019年07月10日現在、この「ハイパフォーマーモデル構築パッケージ」は240万円(税別)で提供されており、坂本雅志社長は2021年02月末までに100社への導入を目指すと意欲を見せています。
ブランドの個性に合わせた接客戦略が店舗の未来を救う
アパレルと一口に言っても、求められるコミュニケーションの形はブランドによって千差万別です。例えば、目的が明確な顧客が多い紳士服ブランドでは、要望に対する的確な「提案」が重要視されます。一方で、具体的な商品が決まっていないことが多い外資系高級ブランドでは、顧客の心を動かす「説得」の技術が成約を左右します。AIを活用すれば、こうしたブランド特有の成功パターンを導き出し、マニュアル化することが可能になるでしょう。
私は、この取り組みが単なる効率化を超え、販売員という職業の価値を再定義するものだと確信しています。数値化が難しかった「おもてなし」の技術がデータとして証明されることで、スタッフの正当な評価やモチベーション向上に繋がるはずです。今後はブライダル業界など、より深いカウンセリングが求められる分野への応用も期待されており、日本のサービス業全体が「データに基づく感動体験」を提供する時代へと突入していくのではないでしょうか。
コメント