民間調査機関である帝国データバンクは、2019年7月19日に消費税率の引き上げに関する企業の意識調査結果を公表しました。同年10月に予定されている10%への増税は、多くのビジネス現場に緊張感をもたらしているようです。今回の調査は2019年6月の後半に実施され、全国の2万3632社を対象とした大規模なもので、約1万社近い企業から切実な回答が集まりました。
調査結果によれば、増税が自社の経営に「マイナスの影響を与える」と予見している企業は、全体の51%と過半数に達しています。この数字は、多くの経営者が景気の先行きを楽観視できていない状況を鮮明に映し出しているでしょう。特に日常生活に密着した商品を扱う業界ほど、その危機感は顕著に現れています。SNS上でも「給料は上がらないのに税金だけ増えるのか」といった、消費者の冷ややかな反応が目立ち始めています。
小売業の約8割が悲鳴を上げる!購買意欲の減退が最大の懸念材料に
業種別の詳細を見ていくと、最も深刻な打撃を想定しているのは「小売業」で、実に78%もの企業が負の影響を懸念しています。福岡県の電器店からは「消費者の買い控えが加速し、購買意欲が失われてしまう」といった不安の声が寄せられました。購買意欲とは、消費者が「物を買いたい」と思う気持ちのことで、これが低下すると経済の循環が滞ってしまいます。消費者の財布の紐が固くなることは、店舗にとって死活問題なのです。
影響を不安視しているのは小売業だけにとどまらず、農林水産や不動産、卸売、金融といった主要な業界でも、マイナスの影響を見込む声が5割を超えました。一方で「プラスの影響がある」と答えた企業は、わずか1%という極めて低い水準にとどまっているのが現状です。一部の事務用機械卸売などでは、税率変更に伴うシステム回収や機器の買い替え需要で一時的な利益を見込んでいますが、それはあくまで限定的な現象に過ぎないでしょう。
注目すべきは、かつての増税時に見られた「駆け込み需要」の勢いが乏しい点です。駆け込み需要とは、増税による値上がりを避けるために、実施前に消費者が急いで商品を購入する動きを指します。しかし、今回の調査では48%の企業が「需要は発生していない」と回答しました。これは、過去の経験から消費者が賢くなり、場当たり的な購入を控えている、あるいは家計の余裕がそもそも失われている可能性を示唆していると考えられます。
私自身の見解としては、今回の増税は単なる税率の変更以上に、心理的な「冷え込み」を社会にもたらすリスクが高いと感じています。キャッシュレス決済による還元策などの負担軽減措置も検討されていますが、企業の多くがこれほどまでに慎重な姿勢を崩さないのは、現場の肌感覚として景気の弱さを感じ取っているからではないでしょうか。政府には、数字上の計算だけでなく、現場の悲鳴に寄り添った柔軟な経済対策を期待して止みません。
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