地方創生とグローバル化の波が押し寄せるなか、福井銀行は2019年6月5日、企業の外国人社員の定着を強力に支援する新たな取り組みを発表いたしました。そのパートナーとなるのは、東京・千代田区に拠点を置く研修会社の内定ブリッジです。この業務提携は、単なる採用活動のサポートに留まらず、採用後の「働き続ける」環境づくりに焦点を当てた、極めて戦略的な一歩と言えるでしょう。
近年、福井県内の企業では、海外事業の展開を見据えた外国人留学生の採用ニーズが飛躍的に高まっています。しかし、採用後の文化や習慣の違いによるコミュニケーションのずれが、早期離職につながる大きな壁となりがちです。内定ブリッジが提供するのは、まさにこの壁を取り除くための専門的な研修プログラムであり、日本人社員と外国人社員、双方の視点に立って関係性を築き直すことを目的としています。
内定ブリッジは2017年の設立以降、異文化間コミュニケーションにおける摩擦を解消するノウハウを蓄積してまいりました。研修は二軸で展開され、日本人社員向けには、外国人社員を受け入れる上での社内体制の整備や、誤解を生じさせない適切な指示の出し方といったマネジメントスキルが伝授されます。一方、外国人社員向けには、日本特有のビジネス文化における指示の受け取り方や報連相(報告・連絡・相談)の重要性といった、実践的な内容が中心となります。
この提携は、福井銀行がこれまで積み重ねてきた実績の上に成り立っています。同行は、福井県などと連携し、2017年から県内企業と留学生を結びつける合同企業説明会を継続的に開催しており、海外展開を目指す企業からの強いニーズに応えてきました。その成果は明確で、2018年度には10社以上の採用が実現するなど、採用数は年々増加の一途を辿っている状況です。採用の「入口」を広げた今、この業務提携は「定着」という「出口」を固める、非常にタイムリーな戦略だと私は評価いたします。
外国人材定着支援は地方企業の生命線
この動きに対し、SNS上では「地方企業が国際化する上で不可欠な視点だ」「採用してもすぐ辞めてしまう課題に光を当てるものだ」といった共感と期待の声が多く寄せられています。特に地方の中小企業にとって、若く優秀な外国人材の採用と定着は、人口減少社会における持続的な成長のための生命線です。彼らは単なる労働力ではなく、多様な視点や独自のネットワークを企業にもたらすイノベーションの源泉であるからです。
私は、福井銀行が提携した内定ブリッジの研修で鍵となるのは、「コミュニケーションのずれをなくす」という視点だと考えます。これは、互いの文化を理解し、インクルージョン(包摂)の精神を社内に根付かせる試みであり、外国人社員「だけ」を変えるのではなく、日本人社員側の受け入れ体制を整えることに重点を置いている点が画期的です。銀行という信頼性の高い金融機関が、こうした「人」と「組織」のソフト面を支援することで、福井県の地域経済全体がグローバル競争力を高める、極めて賢明な投資となるでしょう。
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