アサヒグループホールディングスが、ビール業界に激震を走らせる巨大な一手を打ち出しました。2019年07月19日、同社はビール世界シェア首位を誇るアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)から、オーストラリアの事業部門を約1兆2000億円という破格の規模で買収することを正式に決定しています。これは日本企業によるオーストラリア企業の買収案件として、過去最大の金額を更新する歴史的な決断となりました。
今回のディール(取引)の背景には、売り手であるABインベブ側の戦略的な転換が見え隠れしています。当初、彼らはアジア事業を香港証券取引所へ上場させる「IPO(新規株式公開)」を計画していました。IPOとは、特定の事業を株式会社として市場に公開し、広く投資家から資金を調達する手法のことです。しかし、市場環境の冷え込みなどを理由にこれを断念し、アサヒへの直接売却というM&Aの道を選択した経緯があります。
SNS上では、この電撃的なニュースに対して驚きの声が相次いでいます。「スーパードライが世界を飲み込んでいく」といった期待感に満ちた投稿がある一方で、これほどまでの巨額投資が将来の財務を圧迫しないか懸念する意見も少なくありません。多くのユーザーが、日本の飲料メーカーが世界市場で存在感を高めていく様子を、固唾を飲んで見守っているような状況だといえるでしょう。
アサヒが手に入れる「カールトン&ユナイテッド・ブルワリーズ」は、オーストラリア国内で圧倒的なシェアを誇るビールメーカーです。主力ブランドである「ヴィクトリア・ビター」などは現地で絶大な人気を誇っており、この買収によってアサヒは豪州市場での主導権を確実に掌握することになります。国内市場が縮小傾向にある中、海外に確固たる収益の柱を築こうとする同社の強い意志が感じられるはずです。
私は、今回の買収劇は単なる規模の拡大に留まらない、アサヒの「覚悟」の現れだと考えています。欧州事業の買収に続き、今回も巨額の資金を投じることで、彼らは世界的なプレミアムビール市場での地位を不動のものにしようとしています。リスクを恐れずにグローバルリーダーへの道を突き進む姿勢は、停滞する日本経済において非常に刺激的であり、今後の統合プロセスが同社の企業価値をさらに高めると信じています。
今回の買収手続きは、各国の規制当局による承認を経て、2020年の第1四半期までには完了する見通しであることが公表されています。M&A後の組織統合を指す「PMI」というプロセスが今後重要になりますが、アサヒがこれまでに培ってきた統合ノウハウをどう発揮するかが注目されます。世界一のビール会社から事業を譲り受け、アサヒがどのようなシナジーを生み出していくのか、その行方から目が離せません。
コメント