老舗オンキヨーが直面する苦境と再建への道。2019年4〜6月期決算で見えたオーディオ市場の激変

日本の音響機器メーカーとして長年愛されてきたオンキヨーが、厳しい局面を迎えています。同社が2019年08月14日に発表した2019年04月01日から2019年06月30日までの連結決算によれば、最終損益は13億円の赤字を記録しました。前年の同時期も同規模の赤字であったことから、苦しい経営状況が継続している様子が伺えます。

今回の減益における大きな要因は、主軸である家庭用オーディオ事業の苦戦にあります。インターネットを通じた音楽ストリーミングサービスの普及により、従来の据え置き型スピーカーやアンプの需要、いわゆる「ホームオーディオ市場」が世界的に縮小しているのです。特に欧米諸国での販売不振が顕著に現れており、時代の変化が同社の屋台骨を揺さぶる形となりました。

売上高に目を向けると、前年同期と比べて24%も減少した61億円にまで落ち込んでいます。これは市場の冷え込みだけでなく、経営の効率化を目指して進めていた欧州の販売子会社の譲渡も影響しているでしょう。連結決算とは、親会社だけでなく子会社の業績もすべて合算して算出するものですが、販路を整理したことが一時的に数字上のマイナスとして響いたと考えられます。

SNS上では、このニュースを受けて「高品質な音作りを続けるメーカーだけに、赤字は悲しい」といった惜しむ声が広がっています。その一方で、「スマホで音楽を聴くのが当たり前の今、単体コンポを売るのは至難の業ではないか」という冷徹な市場分析を投稿するユーザーも散見されました。ブランド力は健在であるものの、消費者のライフスタイルの変化にどう寄り添うかが問われています。

こうした逆風を跳ね返すべく、オンキヨーは大きな決断を下しました。主力の家庭用オーディオ事業を、デノンやマランツといった有力ブランドを擁するアメリカの「サウンド・ユナイテッド」社へ売却する方針を固めたのです。これは、得意分野を切り離してでも会社の存続を図る、いわば「選択と集中」の戦略と言えます。自社の看板を譲るという苦渋の選択には、並々ならぬ覚悟が感じられるでしょう。

編集者の視点から申し上げれば、今回の決算は決して単なる一企業の不振を意味するものではありません。私たちが音楽を「所有」する文化から「体験」する文化へと移行した結果が、この数字に凝縮されているのではないでしょうか。ハードウェアの品質だけで勝負できた時代は終わり、デジタル技術との親和性が生存の鍵を握っていることは間違いありません。今後のオンキヨーがどのような形でその「音の魂」を継承していくのか、注視が必要です。

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