信頼性の壁を打ち破る! 🍖食肉偽装対策の国際規格ISO「動物種判別に関する一般要求事項」が切り拓く食品ビジネスの新時代

世界中の食卓を揺るがす食品偽装の問題に対し、ついに国際的な解決の道筋が見えてきました。食肉や魚肉の成分をバイオ技術で正確に測定するための規格が、2019年4月に**国際標準化機構(ISO)の承認を受けたのです。この新たな国際規格「動物種判別に関する一般要求事項」が、食品の信頼性をどのように高め、グローバルな食品流通にどのような影響を与えるのか。規格を取りまとめたバイオ計測技術コンソーシアム(JMAC)**事務局長、中江裕樹氏にお話を伺いました。

まず、この規格策定に至る背景をおさらいしましょう。2013年には、アイルランド食品安全庁の調査により、冷凍牛肉バーガーに馬肉が混入していたという驚きの事実が発覚しました。この事件をきっかけに、食品に対する世界的な信頼性の見直しが強く求められることになったのです。日本国内でも、2007年に北海道の食肉加工販売会社「ミートホープ」が、牛ひき肉に豚のくず肉を混入させていた事件が明るみに出るなど、消費者の食の安全に対する懸念は深刻なものでした。

食肉の成分を調べるには、DNAやRNA(リボ核酸)といった核酸を分析するバイオ技術を応用した測定キットが使われます。しかし、これまでは食品会社ごとにキットの調達が異なり、測定方法に国際的な統一規格がありませんでした。そのため、取引先の提示する測定値が本当に正しいのか、その信頼性を検証することは非常に困難だったといえます。輸出入の際にも、国や会社によって検査方法が異なり、成分量の結果が食い違うといったトラブルの原因にもなりかねなかったのです。

中江氏によると、この「動物種判別に関する一般要求事項」は、合いびき肉や加工肉などの食品に含まれる肉の割合を測るキットの信頼性を国際的に保証するための技術基盤となるものです。測定時の専門用語の定義や、技術的に満たすべき要求事項が明確にまとめられており、食品会社がこの規格に準拠したキットで成分表示を行えば、取引先が抱える測定値の正確さへの懸念を払拭し、信頼性を大幅に向上させることができるでしょう。まさに、食品偽装対策における技術のスタンダードが提供されたといえるのです。

この技術で判別できるのは、食肉であれば、鶏肉の中に牛肉が何パーセント混ざっているかなど、肉種の違いやその割合まで分かるといいます。魚肉についても、サケ、タイ、ウナギなど、魚種の違いを判別することが可能です。さらに、肉や魚だけでなく、虫などの異物混入についても検査できるため、食品の品質管理のレベルが格段に高まることが期待されます。ただし、肉の産地の違いを判別することはまだ難しいとのことです。****

規格で定められた具体的な要求事項として、測定キットは、自社を含めた8施設以上の検査機関で動物種の判別試験を行い、その値が一致すれば国際レベルを満たす、といった条件が盛り込まれています。これにより、食品会社は海外に食肉製品を販売する際、ISO規格に準拠した分析方法で測定していることを取引先に提示でき、信頼性を大きく高めることができます。国内取引に限って提示したい場合は、4施設以上の検査が必要と定められました。この規格は、特に東南アジアや中東のイスラム圏の国々でニーズが高かったといいます。

これは、イスラム教の戒律に従ったハラル認証を受けた食肉を食べるムスリムや、インドの一部菜食主義者など、食べる食品に対して特に厳格な人々が多い地域があるためです。ISOに準拠した測定キットで成分が正確に明示された食料品の輸出入がより活発化し、欧米や日本など各国の食品会社にとって、経済発展が著しい東南南アジア諸国などへ販路を広げるビジネスチャンスが拡大すると期待されています。中江氏が同行した東南アジアへのマーケティング事業でも、現地の取引先は、価格の次に「ISOのどの規格か」と、信頼性の高い規格の採用を求めていることを強く実感したそうです。

さらに、この国際規格の策定は、将来的なリスク管理にもつながります。万が一、2013年の馬肉混入事件のような問題が再び発生した場合、各国が同等の製品に輸出入制限をかけようとする事態も想定されます。その際、世界貿易機関(WTO)のTBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)に基づき、ISOに準拠した測定方法を使った製品以外を輸入制限するといった明確な線引きが可能になるでしょう。規格への準拠は任意ですが、製造会社にとって不測の事態への備えとなるのです。

そして、この国際規格導入の最大の受益者は、私たち消費者だと私は考えます。現在、ISOの食品専門委員会が、一般要求事項に基づいた豚肉、鶏肉、魚など、肉種ごとの個別検出方法をまとめており、早ければ2019年中に発行される見込みです。これが発行され、一般要求事項と組み合わせて肉種を測定したプロセスがISOの審査員に確認・認証されれば、製品にISOマークを付けて販売できるようになるでしょう。

消費者はこのマークを見ることで、信頼性の高い測定を経て成分表記された製品だと判断でき、安心感を高めることが可能です。結果として、加工肉などの取引は全世界でより一層活発になることでしょう。食の安全と信頼性を追求するこの国際規格は、日本の技術がグローバルな食料品市場に貢献する、非常に意義深い一歩であるといえます。

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