2019年6月8日にお届けするこの記事では、金融情報サービス大手QUICKが実施した「QUICK月次調査<債券>」の2019年5月分最新結果を詳しく解説いたします。この調査は、証券会社の担当者をはじめとする債券市場のプロフェッショナル129名から回答を得ており、今後の金利動向を占う上で非常に重要な指標となっています。特筆すべきは、2019年6月末の新発10年物国債の予想利回りが、単純平均でマイナス0.073%という結果になったことです。
これは、前回4月調査の5月末予想値であるマイナス0.028%と比較しても、さらに低下する見込みを示しており、市場関係者の間で、日本の長期金利が今後もマイナス圏で推移するという見方が一段と強まっていると言えるでしょう。ここで言う「新発10年物国債」とは、日本政府が新たに発行する、満期までの期間が10年の国債のことです。また「利回り」は、国債を保有することで得られる収益率を指し、これがマイナスになるということは、投資家が満期まで保有すると元本割れする可能性を意味しており、非常に特異な状況が続いているのです。
このマイナス金利の予想が続く背景には、日本銀行が続けている大規模な金融緩和策、すなわち「異次元の金融緩和」があります。日銀は、景気を下支えしデフレから脱却するために、政策金利をマイナスに設定し、国債を大量に買い入れることで、長期金利を低く誘導しているのです。今回の調査結果は、こうした日銀の強力な政策効果が、市場の予想にも深く浸透していることを裏付けていると考えるべきでしょう。SNS上でも、「低金利が続きすぎて、もはや金利のニュースを見ても驚かなくなった」「マイナス金利時代がいつまで続くのか」といった、半ば諦めにも似た声や、先行きを不安視する反響が見受けられます。
さらに、同調査では、2019年8月末、そして11月末までの利回り予想も公表されています。新発10年国債の予想利回りは、8月末でマイナス0.056%、11月末でマイナス0.040%と、今後もマイナス圏ではあるものの、わずかながら上昇傾向、つまりマイナス幅が縮小していくという見通しが示されています。これは、極端な低金利状態がいつまでも続くわけではないという、市場関係者の中の微妙な温度感の変化を反映しているのかもしれません。
他の年限の国債予想に目を向けてみますと、新発5年国債の6月末予想はマイナス0.174%、新発2年国債もマイナス0.168%となっており、いずれもマイナス幅が比較的大きい水準に留まっています。一方、「TIBOR(タイボー)」と呼ばれる東京銀行間取引金利の3カ月物は、6月末、8月末、11月末のすべてで0.059%と横ばいの予想です。TIBORとは、銀行同士がお金を貸し借りする際の金利のことで、主に短期の資金取引の目安となる指標であり、政策金利の影響を受けつつも、国債利回りとはまた異なる動きを示すことが分かります。
このQUICK月次調査は、2019年5月28日から30日の間に実施されたもので、当時の市場心理を正確に反映しています。このデータから編集者として私が感じるのは、日本の債券市場は極めて特殊な環境下にあり、その状況が今後も当面続く可能性が高いということです。投資家の皆様におかれましては、「マイナス金利」という未曽有の状況が、資産運用や銀行の預金金利などにどのような影響を及ぼし続けるのか、引き続き注意深く情報収集をしていくことが極めて重要になるでしょう。この低金利環境をチャンスと捉え、リスクを理解した上で、国内外の金融商品を検討する時期に来ているのではないでしょうか。
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