パソコンのマウスやキーボードといった周辺機器の分野で、圧倒的な知名度を誇るエレコムが、今まさに大きな転換期を迎えています。同社は長年、個人向けの製品を中心に成長を続けてきましたが、市場の普及が一巡した現状を見据え、新たな成長の柱として「BtoB(企業間取引)」事業を据えることを決定しました。これは単なる事業拡大ではなく、創業以来の大きな変革を意味する「第二の創業」とも呼べる挑戦です。
この野心的な構想を支える強力な武器となるのが、2017年2月20日に傘下へ加わった「ディー・クルー・テクノロジーズ」の存在でしょう。彼らは高度な技術力を誇る専門家集団であり、その知見を活かすことで、エレコムは単なるモノ売りから脱却しようとしています。具体的には、製造現場における「工場の見守りシステム」などのパッケージ提案を軸に、企業が抱える課題をトータルで解決するソリューション型ビジネスへと舵を切ったのです。
ここで言う「BtoB」とは、Business to Businessの略称で、企業が企業に対して商品やサービスを提供する取引形態を指します。一般消費者向けのBtoCに比べて、一度契約が決まれば長期的かつ大規模な利益が見込めるのが特徴です。エレコムは、この領域を深耕することで、高い収益性を維持しながら「売上高3000億円」という壮大な目標の達成を描いています。SNS上でも「エレコムのガジェットは信頼できるから、法人向けも期待大」といった好意的な声が上がっています。
高度な技術融合がもたらす「付加価値」の正体
今回の戦略において注目すべきは、買収した企業の技術をいかにして自社製品に落とし込んでいるかという点です。エレコムが得意とするネットワーク機器に、ディー・クルー・テクノロジーズの持つ半導体設計などの深い専門知識を融合させることで、他社には真似できない独自の価値を生み出しています。例えば、工場の稼働状況をリアルタイムで監視するシステムは、人手不足に悩む日本の製造業にとって、まさに救世主となる可能性を秘めているでしょう。
編集者の視点から見ても、今回のエレコムの動きは非常に合理的かつ攻めの姿勢が感じられます。デジタルガジェット市場が成熟し、価格競争が激化する中で、利益率の高いBtoB領域に経営資源を集中させる判断は、企業の永続的な成長に不可欠です。また、これまでの「安くて便利な周辺機器」というイメージを塗り替え、「技術のエレコム」としてブランドを再定義しようとする熱意が、今回の事業戦略からは強く伝わってきます。
今後の動向として、2019年8月21日現在、同社がどのように具体的な導入事例を積み重ねていくのかが焦点となるでしょう。周辺機器で培ったユーザー目線の使いやすさを、法人向けの大規模システムにどう反映させるのか、その手腕に注目が集まります。売上高3000億円という数字は決して低い壁ではありませんが、この「第二の創業」が成功すれば、日本を代表するITソリューション企業としての地位を揺るぎないものにするに違いありません。
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