今、日米両国は、従来の陸・海・空に加え、宇宙やサイバー空間といった「新領域」における防衛協力の深化を急いでいます。これは、目覚ましい技術力を持つ中国への警戒感を強めているためで、事実上、この新領域が今後の世界の安全保障を左右する**「第4の戦場」と位置づけられているからです。特に、宇宙開発やサイバー技術で高い能力を持つ中国との覇権争いを意識する米国にとって、日本の防衛体制が後れを取っていることは長年の懸念材料となっています。
2019年5月27日、来日したトランプ米大統領は、安倍晋三首相との共同記者会見で「日米協力を劇的に拡大する。軍事的にも宇宙ほど重要なものはない」と宣言されました。この発言は、米国が計画する月の周回軌道への有人宇宙ステーション建設に日本が参加するという計画を念頭に置いたものです。また、これに先立つ5月に、菅義偉官房長官が訪米し、ペンス米副大統領との会談でも、この宇宙での連携が主要な話題となりました。両国の指導者が口を揃えて宇宙の重要性を強調していることからも、この分野での協力が最優先事項であることが伺えます。
米国が宇宙を防衛上の最重要課題と捉える背景には、中国の目覚ましい技術進歩があります。中国は2022年までに独自の宇宙ステーションを完成させ、「宇宙大国」となるという明確な目標を掲げています。また、サイバー空間においても、中国は非常に有能なハッカー集団を抱え、他国の政府や軍のシステムへ介入する能力を有しているとされています。2019年5月に米国が発表した中国の軍事・安全保障に関する年次報告書でも、中国による宇宙やサイバー空間への進出に対し、強い警戒感が示され、サイバー攻撃が「世界中のコンピューターを標的としている」と警告されました。このことから、この新領域における抑止力の構築が急務であるといえるでしょう。
一方で、日本の防衛体制には、米国から見て脆弱性があるとの指摘も存在します。例えば、サイバー部隊の規模を比較すると、防衛省の資料によれば米国が約6,000人であるのに対し、中国は約10万人ともいわれています。日本は2019年度の予算でようやく150人から220人へと増員する計画ですが、これは両国と比較して非常に小規模です。米国側は、もし日本がサイバー攻撃を受けた場合、米国の機密情報まで流出してしまうのではないかという懸念を抱いているため、日本の体制強化は喫緊の課題なのです。
こうした状況を受け、2019年6月4日、来日したシャナハン米国防長官代行は、岩屋毅防衛相との会談で、「日本の防衛大綱は米国の防衛戦略を補完する」と述べ、日本が防衛大綱で宇宙・サイバー防衛の強化を打ち出したことを高く評価しました。 日本側も体制強化に向けて、2019年度予算で情報収集装置の整備などを盛り込み、また、宇宙分野では宇宙状況監視(SSA)、すなわち宇宙ごみや他国の衛星を監視するためのレーダーやシステムの取得を掲げました。さらに、2022年度までには、「宇宙領域専門部隊」を発足させる計画も進めています。
日米間の連携強化の取り組みは、具体的な行動にも表れています。自衛官の米国宇宙作戦センター派遣や、サイバー共同演習の実施、宇宙監視システムの共同運用など、様々な形で体制強化が模索されています。特に、米国の宇宙軍と自衛隊の宇宙部隊の連携を目指す動きは、日米同盟の未来の姿を示しているといえるでしょう。また、2019年4月の日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)では、サイバー攻撃が日米安全保障条約第5条の適用対象になると定義されました。これにより、日本がサイバー攻撃を受けた場合、米国に対日防衛義務が生じることが明確になり、日本の背後に米国が存在するという宣言によって、抑止力のさらなる向上が期待できます。
日米連携の強化が日本にもたらす意味
陸上自衛隊出身でサイバーセキュリティの専門家である伊東寛氏**(ファイア・アイ日本法人最高技術責任者〈CTO〉)は、「サイバー空間は攻撃側が圧倒的に有利な戦場です。専守防衛を堅持する日本にとって、米国の強大な抑止力に期待できるという点には大きな意味があります」と、日米協力の重要性を強調しています。しかし同時に、「日本の新領域の防衛体制は、残念ながら他国に後れをとっている状況です。自衛隊にまだ十分な力がないことに加え、それを支える法整備も追いついていない」と、日本の現状に対する厳しい指摘も行っています。私の意見として、中国の技術革新のスピードや、グレーゾーン事態におけるサイバー攻撃の頻発を考慮すれば、日本の新領域における防衛体制の強化は待ったなしの状況であり、日米連携を最大限に活用しつつ、自主的な能力向上と法整備を急ぐ必要があると考えます。
この新領域の防衛体制構築は、単なる軍事的な問題にとどまらず、日本の情報セキュリティや産業競争力にも直結する極めて重要な課題です。読者の皆様のSNSでの反響を見ても、「日本のサイバー部隊が少なすぎるのは不安だ」「宇宙やサイバーが戦場になる時代が来てしまったのか」といった、危機感を示す声が多く上がっています。日米が手を組み、この新たな脅威にどう立ち向かっていくのか、今後の連携の動向に注目が集まるでしょう。
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