2019年6月4日、安倍晋三首相は、当時米国防長官代行を務めていたパトリック・シャナハン氏と首相官邸で会談されました。この会談は、シャナハン氏が同年1月に国防長官代行に就任されてから初めての来日ということもあり、日米関係のさらなる進展を示すものとして、大きな注目を集めていたのです。両首脳は、「自由で開かれたインド太平洋」という共通の目標を実現するために、日米両国が連携を一層深めていくことで意見を一致させています。
首相は会談の中で、「日米同盟の抑止力と対処力の強化、そして『自由で開かれたインド太平洋』の実現のために、より一層の連携を深めていきたい」と意欲を表明されました。ここでいう抑止力とは、敵となりうる国からの攻撃を思いとどまらせる軍事的な力や外交的な影響力を指し、対処力とは、実際に事態が発生した際に適切に対応できる能力のことを示します。一方、シャナハン国防長官代行は、「日米同盟は、これまでにないほど強固な関係にあります。『自由で開かれたインド太平洋』を必ずつくり出すことができるでしょう」と、この同盟への確固たる信頼と実現への自信を語っておられます。
また、この重要な会談では、北朝鮮の非核化に向けた国際的な働きかけについても確認されました。目指すのは「CVID」の実現です。CVIDとは、「Complete, Verifiable, and Irreversible Dismantlement(完全で、検証可能かつ不可逆的な非核化)」の頭文字をとった専門用語であり、北朝鮮が核兵器を完全に放棄し、それが国際社会によって確認でき、決して元に戻せない状態にすることを意味します。日米両国は、この目標達成に向けて、国際社会と協力して強いメッセージを発信していくことを確認されたのです。
会談の背景には、中国による南シナ海や東シナ海での海洋進出の動きがあります。海洋進出とは、特定の国が海上での影響力や支配領域を広げようとする活動のことを指し、特にこの地域では、国際法や既存の秩序を逸脱する活動が懸念されていました。日米は、こうした現状に対して、中国に国際法と国際秩序の順守を強く求めていくという共通の立場を明確にされているのです。シャナハン長官代行は、首相との会談に先立ち、河野太郎外相(当時)とも外務省で会談され、その後、岩屋毅防衛相(当時)とも会談を行う予定で、非常に精力的な日程をこなされていたことが分かります。
この一連の会談は、東アジア情勢が緊迫する中で、日米同盟が地域の平和と安定の要であることを改めて示しています。特に、中国の海洋進出や北朝鮮の核問題といった複雑な課題に対して、両国が同じ方向を向き、国際社会をリードしていくという強い意思表示は、私たちにとって非常に心強いメッセージと言えるでしょう。SNS上では「日米がこれだけ緊密に連携しているのは安心できる」「『自由で開かれたインド太平洋』というビジョンは、アジア全体の平和にとっても重要だ」といった前向きな反応が多く見受けられました。
編集者として私見を述べさせていただきますと、2019年6月4日のこの会談で示された日米の強い絆と決意は、地域の安全保障環境を考える上で不可欠な要素です。CVIDという高いハードルや、国際法に基づかない一方的な現状変更の試みに対して、両国が継続して連携を深め、透明性の高い国際秩序を維持しようと努力し続ける姿勢は、高く評価すべきでしょう。国際社会の安定のため、日米同盟の役割は今後さらに増していくに違いありません。
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