インターネット通販(EC)の利用が当たり前となる中で、私たちの手元に荷物が届く仕組みが今、劇的な変化を迎えています。不動産大手がこれまでの方針を転換し、住宅地や市街地に極めて近い場所へ物流施設を建設する動きを加速させているのです。2019年09月02日現在、三井不動産をはじめとするトップランナーたちは、最寄り駅から歩いて通える「一等地」に次々と巨大な拠点を誕生させています。
この戦略の背景には、物流業界を悩ませる深刻な「人手不足」と「配送コストの高騰」という二つの大きな壁が存在します。SNS上でも「物流センターは人里離れた場所にあるイメージだったけれど、駅近なら働いてみたい」といった声が上がっており、利便性の高い立地は求職者にとって大きな魅力として映っているようです。もはや倉庫は単なる荷置き場ではなく、人を惹きつける力が求められる時代になったと言えるでしょう。
象徴的な事例として挙げられるのが、2019年06月に東京都大田区に完成した「三井不動産インダストリアルパーク羽田(MFIP羽田)」です。この施設は京浜急行空港線の穴守稲荷駅から徒歩わずか7分という、物流施設としては異例の好立地を誇ります。三井不動産の三木孝行ロジスティクス本部長が「人材確保において圧倒的に有利」と語る通り、働く側にとっての通いやすさが、施設の競争力を左右する重要なファクターとなっています。
「ラストワンマイル」を制する者が物流を制する!変わる立地選定の基準
ここで注目したいのが「ラストワンマイル」という言葉です。これは、配送の最終拠点からお客様の自宅まで届ける「最後の区間」を指す専門用語です。この距離が短ければ短いほど、配送効率は高まり、高騰し続ける輸送費を抑えることが可能になります。三菱地所が2019年01月に名古屋市で稼働させた施設や、野村不動産が2020年中の完成を目指す江東区東雲のプロジェクトも、この戦略に基づいた駅近物件です。
これまでは高速道路のインターチェンジに近いことが最優先されてきましたが、現代では「雇用の確保」と「消費者への距離」が新たな黄金則となりました。リクルートジョブズの調査によれば、2019年07月の物流作業の時給は前年比で大きく上昇しており、もはや給与を上げるだけでは人が集まらないほど現場は切実です。だからこそ、生活圏に近い場所へ施設を構えることで、周辺住民の労働力を活用しようとする狙いがあるのです。
個人的な見解を述べさせていただくと、この「物流施設の都市型シフト」は、都市機能のあり方をアップデートする素晴らしい動きだと感じます。これまでは騒音や大型車の通行を理由に住宅街から遠ざけられてきた物流施設ですが、最新の施設はデザイン性も高く、地域に雇用を生む「良き隣人」へと進化しています。自動化やロボットの活用が進む中で、こうした都市型拠点が私たちの便利な暮らしを支えるインフラとして定着していくのは間違いありません。
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